歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



SECOM 歌舞伎を支える仕事

2008年3月新橋演舞場での公演で使用する『ヤマトタケル』の「岩のドロップ」。特別に新川工場で吊るしていただいた。

大道具は大工でも経師屋でもない

 大道具の仕事をご教示いただいた木工部の嶋田義雄さんは、明治座大道具の棟梁だった父を持ち、昭和32年、15歳のときにこの道に入ったという大ベテラン。18歳で明治座を担当すると、その後、60歳で定年を迎えるまで新橋演舞場の舞台製作に携わり、昭和から平成へと変わる歌舞伎の舞台裏を眺め、作り、釘を打ち続けてきた。

 「寺も作れば、城も茶室も作るけれど、大道具は、大工でもなく、経師屋でもないってことです。舞台の上でどんなに立派に見えてもね、我々は、ムクじゃなくてベニヤを使って柱を作る。大道具に大事なのは、〈いかに軽く、本物に見せるか〉なんです」

 15歳からこの道一筋。定年後、しばらく悠々自適に過ごしていたが、その経験を乞われて復帰した。 「やっぱり嬉しいのは、出来栄えのいいものが作れた時ですね。これまで自分の仕事で一番記憶に残っているのは、平成4年3月に新橋演舞場で演った『二月堂』(※2)。舞台美術家も、役者も納得の仕事ができたときは本当に楽しい。その充実感が次のやりがいになるんです」

(※2)二月堂:本外題は『良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)』

取材協力 金井大道具(株)
取材・文 寺田薫 写真 山本大樹 構成 栄木恵子(編集部)


上写真2点:スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』2005年3、4月公演の時の舞台写真。「岩のドロップ」の表面にはたくさんの電飾が付けられている。さらにさまざまな照明の効果で幻想的な世界へと観る人をいざなう。


上2点とも08年2月26日新橋演舞場で撮影。前日に2月公演の大道具が搬出された後、すぐに3月公演の『ヤマトタケル』の大道具が搬入された


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歌舞伎を支える仕事

化粧をすませ、衣裳を纏い、かつらをつけた俳優たちが、役に入る〈最後の仕上げ〉=それが小道具。この連載も今回が最終回。その仕上げに、小道具の世界を探訪したい。—2008.04.10

歌舞伎の役とそれを演じる役者の体型に合わせて巧みに結い上げ、舞台へと送り出す床山。それはまさにカタチに残らない〈美術品〉なのだ。—2008.02.08

今回ご紹介するのは「かつら」の世界。艶やかな黒髪から、獅子のようなワイルドなかつら、それは繊細な手作業の積み重ねによって生みだされるのです。—2008.01.10

第2回目は、前回に引き続き衣裳編。タイトな時間のなか楽屋で行われる「着付け」とはどんなものなのでしょう?—2007.12.10

華やかな舞台を彩る「衣裳」の世界。オリジナルの生地を仕上げる工程から縫製まで、その技術に迫ります。—2007.11.09

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