歌舞伎いろは

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京都四條南座「當る亥歳 吉例顔見世興行」『雁のたより』
知っているともっと面白くなる!

ようこそ歌舞伎へ 中村鴈治郎

上方芝居が並ぶ京の顔見世興行

 ――三二五郎七を初演されたは平成24(2012)年9月の大阪松竹座です。どんなことを思われましたか。

 気分よくやらなければいけない話ですが、最初は全然できませんでした。それでも、公演中に、次第に気分がよくなってきました。この芝居で初めて演じたのが、若旦那金之助(昭和61年11月国立文楽劇場)、その後、智太郎のときにも前野左司馬(平成3年2月中座ほか)を何度か勤めました。

 ――昼の部では『恋飛脚大和往来』「封印切」の八右衛門をなさいますね。

 ずっと父の忠兵衛で、「八右衛門をやらせてください」と言っていたのですが、なかなかやらせてもらえず、やっと歌舞伎座で、八右衛門をと言われ(平成26年3月)、父が認めてくれたのかなと思いました。

 父は、相手役として認めないとやらせてくれません。子どもだから役をやらせてやろうとかは、一切考えない人です。だから、八右衛門をと指名されたときは、すごくうれしかったですね。その前の月に博多座で忠兵衛を勤めていましたので、「封印切」の忠兵衛と八右衛門を続けて上演することができ、勉強になりました。

 (三世實川)延若のおじさんがお元気で、父とおじさんが、忠兵衛と八右衛門を役替わりで交互に上演することができたら、きっと面白かっただろうなあと思います。そんなことも考えていました。

京都四條南座「當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」

平成30年11月1日(木)~25日(日)

『雁のたより』
(かりのたより)

髪結三二五郎七 中村  鴈治郎 
若旦那万屋金之助 染五郎改め 松本  幸四郎 
前野左司馬 中村  亀 鶴
愛妾司 中村  壱太郎 
医者玄伯 中村  寿治郎
高木治郎太夫 片岡  市 蔵 
乳母お光 坂東  竹三郎 
花車お玉 片岡  秀太郎 

顔見世2カ月興行で「封印切」と「新口村」に出演

 ――今回は松嶋屋さん(仁左衛門)の忠兵衛ですね。

 松嶋屋の兄さんの忠兵衛とは初めてです。兄さんと共演できるのは、もちろんうれしいのですが、すごく緊張しています。八右衛門が突っ込まないと駄目な芝居ですから。楽しめるようになったら“丸”です。考えてみたら、兄さんの忠兵衛で八右衛門をなさるような方がもう少ないんですよね。

 ――12月は南座の『恋飛脚大和往来』で、今度は「新口村」の孫右衛門をなさいます。お父様の藤十郎さんが、忠兵衛です。お父様の親の役をなさるわけですね。

 父の忠兵衛で孫右衛門をする人も、少ないんだと思いました。祖父(二世鴈治郎)も忠兵衛はたくさんやっていましたが、孫右衛門は2、3回くらいしかやっていないと思いますよ。

 ――『沼津』では、お父様の十兵衛で平作をなさっています(平成26年7月大阪松竹座)。こちらもお父様の父親役でしたね。

 十兵衛をやったことがないのに、平作が先になってしまいました。十兵衛をやらせて欲しいです。父は絶対に皺を描くような老け役をやりません。皺を描く役で勤めたのは『二月堂』の渚くらいでしょう。だからこちらが老け役になる。父と逆転の親子を演じるのは勘弁して欲しいです(笑)。

 (十八世)勘三郎の兄さんも平作をなさっているでしょう。お元気で、交互に平作と十兵衛を演じられたらよかったのに、と思ってしまいます。

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