歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」『寿曽我対面』
知っているともっと面白くなる!

ようこそ歌舞伎へ 尾上松也

純粋でまっすぐで血気盛んな五郎

 ――『矢の根』『助六』など曽我兄弟の登場する芝居は多く、曽我物は、歌舞伎のジャンルとして確立しています。江戸時代のある時期までは「曽我物」の上演は正月公演の恒例でした。

 歌舞伎のなかでは、いろいろな場面で出てくる兄弟です。五郎、十郎を演じるというのは、歌舞伎俳優にとっては大きなことで、光栄です。

 ――五郎はどんな人物だとお考えですか。

 敵討ちがベースにあります。少年であるだけに、純粋でまっすぐで、血気盛ん。複雑に考える人物でしたらああはならない。一直線、一本気で、そのことに情熱を燃やしきって命をかけている少年です。対して十郎は、きちっとして冷静で、物事をよく、深く考えるような人物です。その対比が面白さですよね。今回の十郎は歌昇くん。どういう兄弟像になるかが楽しみです。

 ――五郎の声はいかがでしょう。

 第1部で『義賢最期』の義賢を勤めます。義賢は非常に重低音の効いた声の出し方をします。対して五郎は甲高い少年の声です。実は、以前は自分の声帯は強いと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。それほど役を勤めていなかっただけで、いろいろなお役をさせていただくようになって初めて、自分の声帯がどれだけ繊細で弱いかということに気づかされました。経験を踏まえ、工夫して声を出したいと思います。

京都四條南座「當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」

平成31年1月2日(水)~26日(土)

『寿曽我対面』(ことぶきそがのたいめん)

曽我五郎時致 尾上  松 也 
曽我十郎祐成 中村  歌 昇 
小林朝比奈 坂東  巳之助
大磯の虎 坂東  新 悟 
鬼王新左衛門 中村  隼 人
化粧坂少将 中村  梅 丸 
工藤左衛門祐経 中村  錦之助 

思いもよらなかった五郎、義賢

 ――『対面』でほかになさりたいお役はありますか。

 朝比奈を演じてみたいです。姿も面白いですよね。

 ――お話が出た『義賢最期』の義賢は初役ですね。

 以前から演じさせていただきたいなと思っていたお役でしたので、希望の一つがかなってありがたいです。海老蔵さんの『義賢最期』で、葵御前で出していただいたことがあります(平成20年9月新橋演舞場)。そのときは、義賢をやるとは露ほども思わず、いつか小万を演じてみたいなと思っていたくらいです。それを考えると不思議ですね。いつの間にか立役が増え、大磯の虎を演じていた人間が(平成20年6月博多座)、今度は義賢をすることになりました。

 ――どなたに教わられるのでしょう。

 仁左衛門のお兄さんにご指導していただきます。障子が倒れ、お兄さんの義賢が登場する場面など、鳥肌が立つように格好いいと思いました。「戸板倒し」「仏倒れ」などの立廻りをどう工夫されたかをうかがいましたので、そうしてお兄さんがご苦労されてつくり上げたものをさせていただける喜びを感じました。

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