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吉右衛門「本物の舞台芸術体験事業」に参加

本物の舞台芸術体験事業

▲ 隈取を描く吉右衛門(写真左) 太鼓の体験(写真右)


 文化庁主催の「本物の舞台芸術体験事業」に中村吉右衛門率いる歌舞伎が、昨年に続き、今年も参加した。10月9日から同24日まで宮城、秋田、青森の三県と北海道の十一小学校をまわった。

 「子供たちに芸術を愛する心を育て豊かな情操を養うこと」が事業の目的で、普段歌舞伎に触れる機会の少ない地域の小学校を重点的にまわる。それも「歌舞伎に触れる機会を子供の時に持って欲しい」との吉右衛門の熱い思いからだ。

 見学したのは10月11日の仙台市立作並小学校公演。仙山線作並駅から徒歩五分の本校と分校合わせて生徒数七十五人の小規模な学校で、会場の体育館には六十七人の生徒と保護者、教職員の総勢九十二人が集まった。

 二部に分かれ、一部が「歌舞伎の世界で遊ぼう」。前方の舞台の幕が開くと現れたのは「天竺徳兵衛」を思わせる一匹の大ガマ。大きな口を開け、飛び跳ねて見せると生徒から笑い声があがり、中から羽織袴の吉右衛門が登場。「歌舞伎のおもちゃ箱には本当におもしろいものがたくさん詰まっています」語りだす。

 八月中に吉之助、吉三郎らがワークショップに赴き、挨拶の仕方から今回使用する小道具、大道具の作成までの指導を行っているため、生徒の関心も高く、興味津々で集中して舞台を見つめる。

 猪が走り、試乗サービス付きの馬が出て、児童手作りの菜の花の上を生徒作成の差し金の蝶々が飛ぶ。遠見などの馬に用いる「ほにほろ」に生徒が入っての立ち回りもある。さらには雨、風、海、川、雪、雷などの歌舞伎独特の効果音を囃子方が聞かせ、休憩時間には吉右衛門自らが校長に隈取を描くなどまさに至れり尽くせりのメニューだ。

 吉右衛門のトークも冴えわたり、「歌舞伎の音」のコーナーでは「これは何の音でしょう」と生徒に質問。驚いたのが波、雪など生徒が高い確度で言い当てたこと。先人の工夫の偉大さよ。幽霊の登場に使う「どろどろ」では「透き通った幽霊を見たことがある」という「興味深い」生徒の発言もあって会場は盛り上がった。

 二部は「実際に舞台を見てみよう」。長唄連中が「勧進帳」の「滝流し」を演奏し、吉之助の「雨の五郎」と京妙の「鷺娘」が披露された。生徒をうらやむ声が松竹関係者からも漏れた充実の二時間であった。「全国をまわりたい」とは吉右衛門の弁。いつかあなたの近くの小学校でも授業があるかもしれませんよ。

本物の舞台芸術体験事業

2007年12月04日

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