翫雀、亀治郎、愛之助「四国こんぴら歌舞伎大芝居」への想い

翫雀、亀治郎、愛之助「四国こんぴら歌舞伎大芝居」への想い

 第二十六回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が4月10日(土)から25日(日)までの16日間(32公演)、中村翫雀をはじめ、市川亀治郎、片岡愛之助ほか花形俳優を迎え、日本最古の本格的芝居小屋である旧金比羅大芝居(金丸座)で開催されます。公演に先立ち製作発表が行われ、出演者らが舞台への意気込みを語りました。

中村翫雀
 こんぴら歌舞伎は、今回4回目の出演になります。初めて金丸座の舞台に出たときの興奮は今でも忘れられません。街の方々が一緒になってお芝居を創る手作りの感じが大好きですし、初日前には「お練り」で街中の方々が温かく迎えてくださいます。そのなかでお芝居が出来ることは大変嬉しいことです。

 金丸座は客席と舞台との距離が近く、これはきっと江戸時代の距離感で、まさに芝居の原点を体験しているような感じがします。そうすると、ついついこちらも客席に降りてみたくなってしまうような(笑)、とても不思議な空間、役者が興奮する空間だと思います。

 昼の部では『義賢最期』『棒しばり』、夜の部では『敵討天下茶屋聚』に出演させていただきます。今回の『天下茶屋』は市川猿之助さんの演出ですが、私は初めてのことで、どの様に猿之助さんが金丸座をお使いになるのか、大変楽しみにしています。この若いメンバーで、金丸座を壊さない程度に、グチャグチャに走り廻りたいと思っています。


市川亀治郎
 金丸座には2度目の出演になります。猿之助の伯父に演目を相談したところ、昼は民謡を集めた踊りで「こんぴらふねふね~」の歌詞も出てくる『浮世風呂』が、そして夜は澤瀉屋の演出では最後に客席を走り廻ったり、お客様の中に紛れ込んだりする『天下茶屋』なら、客席と舞台が近い金丸座にぴったりではないか、という事になりました。どちらの演目も暗転からパッと明るくなる場面もあり、地元の方々に障子を開けたり閉めたりしていただくことになるので、きっと芝居小屋らしい演出をお楽しみいただけると思います。

 金丸座のお客様は本当に素直な反応をして下さいます。観光地ですので、歌舞伎を見たことの無い方が多いからかも知れませんが、見得にワッとなって喜んでくださったり、僕たちも「歌舞伎にはこういう面白さがあったんだ」と勉強になることも多く、良い修行になる舞台だと思っています。


片岡愛之助
 こんぴら歌舞伎は第1回目の公演に出演させていただいておりますが、その舞台の頃ちょうど声変わりの時期と重なってしまい苦労をした想い出があります。今回で5回目の出演になります。『義賢最期』は叔父の片岡仁左衛門に監修していただきます。ダイナミックな立廻りが魅力ですが、最後の階段から落ちるところでは、勢い余って幕外まで落ちないように気をつけたいと思います(笑)。『棒しばり』は初役、そして『天下茶屋』の東間三郎右衛門は祖父の十三代目仁左衛門も勤めていたお役です。今回は猿之助さんの演出ということで、そちらもとても楽しみです。

 金丸座は照明も窓の開け閉めを利用したり、盆やセリも手動だったりと、昔の芝居小屋はこういうふうにやっていたんだろうなと、こちらもタイムスリップしたような感じを受けます。そうした空間で楽しいお芝居を、お客様と一緒になって創っていける事を今から楽しみにしています。

翫雀、亀治郎、愛之助「四国こんぴら歌舞伎大芝居」への想い

2010/02/01