菊五郎、松緑、菊之助が語る七世尾上梅幸、二世尾上松緑への思い~十一月新橋演舞場「吉例顔見世大歌舞伎」

菊五郎、松緑、菊之助が語る二世尾上松緑、七世尾上梅幸への思い

▲ 祭壇の前で(左より)尾上菊之助、尾上菊五郎、尾上松緑、手前は松緑の長男藤間大河

 新橋演舞場「吉例顔見世大歌舞伎」(11月1日初日-25日千穐楽)は、七世尾上梅幸(おのえばいこう)の十七回忌、ならびに二世尾上松緑(おのえしょうろく)の二十三回忌追善公演で、故人にゆかりの顔ぶれと演目を揃え上演されます。
 公演に先だち昭和を代表する歌舞伎の名優である七世梅幸と二世松緑2人を偲ぶ会が開催され、尾上菊五郎、尾上松緑、尾上菊之助が故人のへ思い、公演への思いを語りました。

尾上菊五郎
 松緑のおじさん、父 梅幸が創り育ててくれた菊五郎劇団が今も健在で、その中でお芝居を続けさせていただいている、そして11月にはこの劇団で追善公演が出来る事を有難く思っています。2人の大恩人の追善公演ですから、私も一所懸命に勤めるつもりでございますが、2人の孫にあたるこの松緑、菊之助も近ごろ一所懸命にやってくれているので、だいぶ肩の荷が下り有難いなと思っています。おじさんも、父も、お祭り騒ぎが大好きでしたから、お祭り騒ぎになるくらいに、11月の追善公演を大勢のお客様に観ていただいて、当人達を喜ばせたいなと思っております。

尾上松緑
 祖父(二世松緑)に技術的な事を教えていただいたことはほとんどありませんでしたが、多くの劇団の先輩方、梅幸のおじ様、菊五郎兄さんから、お祖父さんはこうしていたよ、と教えていただいて参りました。直に教わる事がなくても、祖父が言っていた事はこういうことなんだ、と歳をとるにつれ身に染みて感じています。お2人に直接恩返しすることは出来ませんでしたが、その分劇団に恩返しができるように、そしてお客様に喜んでいただき、来て良かったねと笑って帰っていただけるように舞台を勤めたいと思っています。

尾上菊之助
 もっと祖父(七世梅幸)の舞台を観ておけばよかった、もっと話を聞いておけばよかったと、祖父の勤めていた役をやらせていただく時にはいつも思います。稽古の時は、普段は穏和な目つきがキリッとして、厳しかった事も良く覚えています。今回の追善公演では大きなチャンスをいただきました。きっと祖父や松緑のおじ様が厳しい目を光らせている事と思いますが、先輩方に認めていただけるように、そしてお客様に楽しんでいただけるように舞台を勤めたいと思っています。

菊五郎、松緑、菊之助が語る二世尾上松緑、七世尾上梅幸への思い

▲ 写真左:献杯の様子(左より)坂田藤十郎、尾上菊五郎、尾上松緑、尾上菊之助/写真右:ご挨拶の模様(左より)尾上菊五郎、尾上松緑、尾上菊之助

2011/09/27