松緑、菊之助が語る御園座「二月花形歌舞伎」

 2月4日(土)に初日を迎える御園座「二月花形歌舞伎」の出演者、尾上松緑、尾上菊之助が、公演に向けての意気込み、出演する役について語りました。

 松緑、菊之助という若い二人が中心となる今回の公演について、「若さを前面に押し出し、はつらつとした芝居をお見せできれば」と松緑が語ると、二つの初役に挑戦する菊之助も、「二人にとってゆかりの深い演目が並びました。父にくらいついてやらせていただきます」と意欲を見せました。

 また、若手出演者が多い公演でもあり、松緑は「後輩に後ろ姿で教えていく責任も出てきました。菊五郎劇団独特のものを、二人が継承していかなければならない時期がきたと実感しています」と気を引き締め、菊之助も「若い世代にも恥ずかしくないものを見せることと、どうしたらお客様に喜んでもらえるかを考えてやっていくことが、責任につながると思います」と、日々の積み重ねの重要さを語りました。

『義経千本桜』について――
松緑(渡海屋銀平実は新中納言知盛)「昨年7月の国立劇場<歌舞伎鑑賞教室>では、課題ばかりが残りました。知盛は我が家にとっても大切な役で、一生かけて練り上げていきたい。手ごわい役で、銀平、白装束の知盛、そして安徳帝の"仇に思うな、コレ知盛"のセリフで、つきものが落ちたかのような知盛と、それぞれ性根が違うというお話を、天王寺屋のおじさん(五世富十郎)から教えていただきました。義太夫のコクも必要ですし、特に銀平の花道の出の表現が難しかったので、そこに重点を置いていきたいと思います。また、知盛がもつ『千本桜』のなかでも指折りの悲劇性、これは一貫して大切にしたいところです」

菊之助(初役の銀平女房お柳実は典侍の局<すけのつぼね>)「昭和51年の松緑のおじさんと祖父の梅幸の映像を見ています。世話(物の役柄)から典侍の局に戻り、(舞台が変わって)十二単の典侍の局と、こちらも3段階の変化があって、お稽古してみると難役です。仕事もけっこうあって、どうやれるかが課題です」

『雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)』について――
菊之助(初役の片岡直次郎)「三千歳をさせていただいて、『直侍』は素敵な演目だなと思っていました。逃げているのに女の人に会いに行くという矛盾もありますが、季節感や風情のあるところも好きです。直次郎をいい男としてやるか、御家人崩れとしてやるか・・・、女方をやらせていただくことが多いので、御家人崩れは荷が重いですが、だからいい男でというより、少し色悪のようなところを強める方向で、勉強しようと思っています」

『白浪五人男』について――
松緑「南郷力丸は思い入れの強い役です。菊之助さんと3度共演させていただき、その度に話し合って、細かいところを自分たちなりに練ってきたものがあります。そういうものを土台にして、わかりやすくお見せしたい。通しなので、あらすじをご存じないお客様にも、喜んでもらえる演目になるのではないでしょうか」

菊之助「(二人それぞれの祖父)松緑のおじさんと梅幸、そして辰之助のおじさんと父が練り上げた『五人男』。初めての通しですが、通してやることで、役が深まると思います。二人が話し合いながら、3回目(前回、平成22年10月御園座公演)でようやくスタートラインに立てた気がします。これから深めていきたいです」

2012/01/30