菊五郎、團十郎が語る大阪松竹座「團菊祭五月大歌舞伎」

菊五郎、團十郎が語る大阪松竹座「團菊祭五月大歌舞伎」

 5月大阪松竹座では、昨年に続き「團菊祭五月大歌舞伎」を上演します。
 「團菊祭」は、明治の劇聖と謳われた九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の偉業を顕彰するために昭和11年に始まり、戦後は昭和33年に復活、近年の歌舞伎座では五月興行の恒例の催しとして上演されてきましたが、平成22年に初めて大阪で開催され、今年で3年目となります。
 公演に先立ち、尾上菊五郎、市川團十郎が「團菊祭」への思いを語りました。

尾上菊五郎
 浪花の地での念願の團菊祭も今年で3年連続の開催です。山城屋のお兄さん(藤十郎)を筆頭に、左團次さん、時蔵さん、東蔵さん、三津五郎さん、松緑、菊之助、海老蔵と、これだけの顔ぶれを揃え出演させていただけるのも、ひとえにお客様のご声援の賜物とありがたく思っております。

 昼の部『身替座禅』、夜の部『絵本太功記』の十段目で團十郎さんとご一緒いたします。新古演劇十種の『身替座禅』は家の芸で、山蔭右京は品よく勤めたいと思います。一人でのろけ話をするところは、立役と女方の踊り分けにメリハリが出るように、目線も女方ではちょっと上を向いて右京をたてて、右京ではちょっと下目線にする、そういうところが大切だと思っています。『絵本太功記』の真柴久吉は芝居の収め役、最後は呼び止めて皆で引っ張りの見得で決まる、これは気持ちがいいですね。團十郎さんの光秀で気分の良い久吉を勤めさせていただく、こんな嬉しいことはございません。

 こうして大阪松竹座で團菊祭を続けて開催させていただくこと、そして、お客様に年中歌舞伎に接していただくことはとても大切だと思います。歌舞伎は観はじめると、少し中毒になると言いますか・・・「今度は何を観よう」とお客様をその気にさせるためにも、やはり年中近くでやっていないといけません。こうして浪花の地で続けて開催させていただくことで、お客様も楽しんで待っていてくださる、その期待感はとてもありがたく、これからもぜひ続けていきたいと思っています。

 東日本大震災の被災地である宮城県名取市及び多賀城市において、片岡仁左衛門さんらの出演による「歌舞伎チャリティー公演」が、4月25日(水)に名取市文化会館、26日(木)に多賀城市民会館でそれぞれ開催されます。

 この「チャリティー歌舞伎公演」は、東日本大震災の被災地への慰問、ならびに歌舞伎の鑑賞入門の機会を楽しんでいただくことを目的に開催されるものです。

 両日とも午前11時から、片岡孝太郎さんらによる、地元の小・中学生の方を対象にしたレクチャー・デモンストレーション「たのしい歌舞伎入門」。午後1時からは、市川左團次さんの翁、中村梅枝さんの千歳、片岡愛之助さんの三番叟による『寿式三番叟』。続いて片岡仁左衛門さんの山蔭右京、市川左團次さんの奥方玉の井、市川男女蔵さんの太郎冠者で『身替座禅』が上演されます。

 この公演は、それぞれ、名取市文化振興財団、多賀城市文化センター、ならびに、独立行政法人日本芸術文化振興会(国立劇場)、松竹株式会社の主催で行われ、被災された市民の方々や小中学生の皆さんが無料招待で観劇される予定です。

2012/03/30