愛之助、吉弥が語る「システィーナ歌舞伎」

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 11月13日(火)~15日(木)、徳島県 大塚国際美術館システィーナホールで行われる「第四回 システィーナ歌舞伎『主天童子』」の公演を前に、出演者の片岡愛之助と上村吉弥、作・演出の水口一夫氏が会見を行いました。

 第四回となるシスティーナ歌舞伎は"四国の秋の風物詩"ともなり、今年は、9月から始まった「第27回国民文化祭・とくしま2012」の目玉イベントの一つとしても位置づけられています。システィーナ歌舞伎ならではの和と洋のコラボレーションを目指し、毎年、新作が上演されます。

天草四郎の世界で人間の善と悪を描く『主天童子』
 歌舞伎の『大江山酒呑童子』でもお馴染みの「酒呑童子」を、1630年代、切支丹一揆ともいわれる島原の乱で活躍する天草四郎時貞の世界で描くのが、今回の『主天童子』です。作者の水口氏は「(歌舞伎の酒呑童子の背景である)源頼光の世界では"洋"の要素が出てきません。システィーナ礼拝堂ですので、天主デウスの"天主"をひっくり返し、"主天"とさせていただきました」と、和と洋のコラボレーションの一端を紹介。物語の中で、システィーナ礼拝堂でも描かれている、人間の善と悪を浮かび上がらせるのが今回のテーマです。

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西発信の芝居をつくりたい
 2回目の参加となる愛之助は、初参加の昨年の舞台について「360度客席で、非常に勉強になりました。特別な空間ではお客様から受けるパワーも違い、それをキャッチして投げ返す作業が非常に楽しい。お客様にも実際に来ていただかないとこの感覚はわからない」と、公演への特別な思いを述べました。

 と同時に、「上方歌舞伎命で生きていらっしゃった十三世仁左衛門の許で修行してきたので、上方発信、"西"発信で何かをつくりたいと常々思っています。ぜひほかでも再演できるいい作品をつくっていきたい」と意気込み、今回演じる天草四郎こと七草四郎時貞、主天童子役に、「17歳の美少年、頑張りたい!」と意欲を見せました。

新作に出演する喜び
 水口氏が「妖術を使うともいわれている四郎が、相棒の茨木とばらばらに逃げ延び、京で再会、二人が怪盗となって暴れ回る話」とあらすじを語るなか、歌舞伎舞踊『茨木』でも知られる茨木童子を演じるのが、第一回から参加している吉弥。「(真柴のような)老婆ではなく、傾城茨木として片腕で踊る」という作者の設定に、吉弥は「新作の上演は、勉強してきたものをいかに出せるか。システィーナ歌舞伎は年1回の勉強の場であり、皆さんに楽しんでいただけることが自分の楽しみ」と、創作の喜びを述べました。

 2012年はシスティーナ礼拝堂天井画完成500周年のメモリアルイヤー。美術鑑賞と歌舞伎観劇をより堪能してもらいたいと、13、14日は美術館が歌舞伎観劇のお客様で貸切になるそうです。愛之助も「昨年は全部が見られなかったので、今年こそ」と言う広い館内は、鑑賞しながら歩くと全長4km以上。ぜひ、お時間に余裕をもってお出かけください。

2012/09/12