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京蔵に聞く歌舞伎史上初の「イスラエル公演」

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 8月30日(木)・31日(金)エルサレムのイスラエル博物館オーディトリアム(上の写真は『鷺娘』終演後のカーテンコール)、9月6日(木)、7日(金)テルアビブのスザンヌ・デラル・センターで、中村京蔵、尾上松五郎らが歌舞伎舞踊公演を行いました。これは、日本イスラエル外交関係樹立60周年記念として、国際交流基金が主催した公演で、イスラエルでは初の歌舞伎の公演となります。

中村京蔵インタビュー

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▲ 公演のポスターと記念写真(写真提供:中村京蔵)

 国内で歌舞伎公演の舞台を勤めながらも、これまで海外30都市以上で歌舞伎のレクチャー・デモンストレーションの活動に携わってきた京蔵さんに、現場での手応えや今回のイスラエル公演の様子を聞きました。

――最初にレクチャー・デモンストレーションを行われたのは?
 1998年2月、今回と同じ国際交流基金主催の公演でラオス、シンガポール、フィリピンへ行ったのが始まりです。ラオスでは劇場の窓が開けっ放しで舞台に土が積もっており、いくら掃除をしても、裾も足袋も土が染み込んで茶色くなりました。東南アジア、中米、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカ...、どちらも話すときりがないほどいろんなことがありました。

――そして、今回は中東、イスラエル!
 どんなところであっても、与えられた条件で工夫するのが楽しいのです。エルサレムでは、現地で調達した材料を使って山台にしたり、大道具さんの手づくりで"雪"効果をしつらえたりしました。リノリウムの床ですと裾がついてこないので踊れませんが、今回は木の床で助かりました。テルアビブでは所作板を持ち込んで踊ることができました。

――『鷺娘』を舞い踊り、『石橋』では松五郎さんと毛振りを披露されました。
 試行錯誤を重ねた結果、近頃はだいたい、レクチャーをはさんでその2つに落ち着きました。『鷺娘』は大道具さんが雪を降らせてくれ、引き抜きを見せることもあって、たいていどこでも好評です。『石橋』の獅子の毛振りも派手だからか、どこで踊っても喜ばれますが、アスリートがトレーニングすることで有名な高地のデンバー(標高なんと約1600m)ではきつかった! 楽屋では酸素マスクを利用するほどでした。

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▲ テルアビブ公演の舞台。コンパクトながらも本格的(写真提供:中村京蔵)

 ヨーロッパでは『豊後道成寺』を出しました。渋いもので挑戦したかったからですが、そういうものを理解する下地があるからか受けがよかったですね。私は、海外だからと時間を詰めたり派手にすることはしません。師匠(中村雀右衛門)のやっていたとおりにやる...。毎回、不安はぬぐえませんが、日本のままの歌舞伎で外国で勝負したいのです。オリンピック選手ではありませんが、日の丸を背負って舞台を勤めております。


――レクチャーがあるとないとでは、お客様の反応も違うとお聞きしました。

kyozo_04.jpgのサムネール画像

▲ テルアビブでは地元の演劇学校で、初めてワークショップも行った


 ここ2、3年はお客様を巻き込んで、女方のしぐさや見得の実演を交えたレクチャーをやっており、照れながらも皆さんやってくださいますよ。とはいえ、まだまだ改良の余地はあります。上演中は途中で引き抜いても拍手がなかったり、かしこまってご覧になっていても、それは土地柄。最後は必ず大きな拍手があり、舞台ではお客様の熱、手応えを毎回、肌で感じることができます。

――実際に歌舞伎を観ていただくと、伝わるものも大きいんですね。
 歌舞伎のご先祖様に感謝です。以前、海外公演をご一緒した郡司正勝先生もおっしゃっていましたが、歌舞伎の力は本当にすごいんです。インパクトが違う。歌舞伎役者でよかった!

――では、最後にひと言お願いします。
 これからも、どんな遠い国でも、どんな過酷な条件下(笑)でも、歌舞伎のご紹介に努めてまいりたいと存じます。

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▲ 京蔵さんと松五郎さんが観客に応えカーテンコールに。テルアビブ公演『石橋』も熱狂のうちに終了!

2012年09月18日

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