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尾上松也が語る『太刀盗人』

 尾上松也が、上演中の『太刀盗人』ほか出演演目について語りました。

初めての1カ月公演で
 今回、初めて1カ月公演で勤めさせていただいております『太刀盗人』すっぱの九郎兵衛は、以前、自主公演「挑む」の第1回目(平成21年11月前進座劇場)でさせていただいたお役です。このときは1日のみの公演で、演じることに無我夢中でした。

 この作品は、尾上松緑家のなかでも、とても大切にされているものです。紀尾井町のおじさま(二世松緑)、三代目松緑さん、当代の松緑さん、そして父(六世松助)も勤めております。南座で1カ月、私の年齢でさせていただけるのは感慨深く、とても嬉しいことです。1日限りの公演と違い、何回もお客様の前で演じることで、とてもいい経験をさせていただいております。日々、『太刀盗人』を身体の中に染み込ませ、よりお客様に楽しんでいただけるようにと心がけております。

笑いをねらわずに面白くする
 自主公演では、猪突猛進と申しましょうか、肩に力が入ってしまい、全力で必死に演じておりました。今回は、作品自体、そして、役柄を客観的に見る自分をどこかに置くようにしています。『太刀盗人』という舞踊劇は、作品自体がよくできていて面白い演目ですが、演じる側が意識して笑わせようなどと狙いすぎないほうがよいと教わりましたので、そのようにできればと思っております。

 また、狂言や落語など日本の古典の笑いは、「大爆笑をとる笑いではなく、気づくと顔がほころぶという笑い。大爆笑をとりにいくことはしてはいけないよ」と教えていただいたこともあります。狂言をもとにしている松羽目物の舞踊では、特にそこを肝に銘じて演じたいです。

松緑さんの言葉は父の言葉
 父が『太刀盗人』に出演したとき(平成13年三越劇場では目代、同14年御園座では九郎兵衛)は、従者で出させていただいておりました。父から直接教えてもらったことはないのですが、松緑さんが九郎兵衛を父から教わっていたのを見ながら、いつか自分が九郎兵衛に挑戦できる機会があったら松緑さんに、と思っていました。「挑む」も今回の南座も松緑さんに教わり、松緑さんの言葉は、父からの言葉とも感じておりました。

尾上松也 昼の部では、『鎌髭』にも出させていただいています。「歌舞伎十八番、成田屋の荒事は、これだ!」と思える作品で、『暫』に似ている場面もあります。海老蔵さんの荒事の魅力にあふれたお芝居だなと感じ、歌舞伎十八番を今後、ますます復活していって欲しいとあらためて思いました。これまでも復活物に携わらせていただく機会には、いつも先輩方が作品をつくり上げていく姿を拝見しておりましたので、今回もこれまでの経験が役立っているのではないかと感じております。

 夜の部『伊達の十役』では山中鹿之助役で、海老蔵さんの10役早替り、大奮闘のサポートをさせていただいています。よりよいお芝居になるよう、そしてお客様が楽しんでくださるように、日々一所懸命勤めさせていただいております。一度と言わず、二度三度、劇場へ足をお運びください。

2013年05月21日

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