愛之助、吉弥、壱太郎が語る「システィーナ歌舞伎」

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 来年2月14日(金)~16日(日)、徳島県 大塚国際美術館で行われる「第五回 システィーナ歌舞伎」に出演する片岡愛之助、上村吉弥、中村壱太郎が、公演への思いを語りました。

片岡愛之助

 今回のシスティーナ歌舞伎は、初の喜劇に挑戦。モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の世界を、狸合戦の伝説の地、阿波の国を舞台に描きます。フィガロ、スザンヌ、そして伯爵夫人ロジーナらが日本名の登場人物となり、満月城で繰り広げる大騒動が、歌舞伎版「フィガロの結婚」として、ミケランジェロの陶板画に包み込まれたシスティーナ・ホールで観られることになりそうです。

再演される歌舞伎をつくり出したい
 「笑って楽しんでもらえるようにやります。喜劇はお稽古を積まないとできないので、できる限り稽古をしたい」と意気込みを見せたのは吉弥。愛之助は今年、システィーナ歌舞伎で初演した2作が再演されたことを受け(2月大阪松竹座『GOEMON』、11月永楽館『伽羅紗』)、「新しいものをつくって、また再演できるようにしたい」と宣言しました。4回目の出演となる壱太郎は前回、名画に囲まれた空間の素晴らしさを体感、「その素晴らしさをお客様と共有できるのがうれしい」と語りました。

上村吉弥

 作・演出の水口一夫は、「作品が残るか残らないかは、作品そのものというより役者の魅力によると思っています。演技力と魅力で再演ができている」と話すとともに、「毎回、本当に難しい空間だなと思っています。ミケランジェロに対抗しようとせず、一体感を出すようにしています」と、特別な空間で歌舞伎に挑戦する難しさを語りました。

"かぶく心"で新しい挑戦を
 システィーナ歌舞伎のテーマは「和と洋のコラボレーション」です。「新しいこと、最先端のことをするのが"かぶく"、つまり歌舞伎。歌舞伎の語源となった"かぶく"ことを忘れてはならない。どこまで歌舞伎俳優が"洋"になれるか、です」と、意気込んだ愛之助。「歌舞伎俳優がやるから歌舞伎、これを信じているからこそ新しい挑戦ができます。"洋"を意識した役づくりもできるんです」と、壱太郎も賛同しました。

中村壱太郎

 たとえば、衣裳。西洋絵画の鮮やかな色使いに負けないようにするため、派手すぎではと思うくらいにして原色に近い色を使うそうです。条件に合わせ、さまざまな工夫や挑戦を積み重ねて生まれる新しい歌舞伎。「新しい歌舞伎で心理描写を勉強すると、古典歌舞伎に戻ったときに経験を活かしてより深く演じることができます。私にとってはありがたい勉強の場です」と、吉弥もシスティーナ歌舞伎の挑戦に前向きに取り組む姿勢を見せました。

 今回の新しい試みとして気になるのは、やはり原作のオペラの名曲がどのような音楽として表現されるのかということでしょう。「室内楽につくり直し、歌舞伎の下座音楽と組み合わせます。オペラとは音の厚みが違うので難しいでしょうけれど」と、水口。ゼロから立ち上げる作業に困難は尽きませんが、作者や出演者のにこやかな顔からは、苦労を超えた創作に取り組む喜びが伝わってきました。

「第五回 システィーナ歌舞伎」

 大塚国際美術館 システィーナ・ホール「第五回 システィーナ歌舞伎」は、2014年2月14日(金)~16日(日)の公演。チケットは、12月17日(火)より、チケットWeb松竹、 チケットホン松竹にて販売予定です。

2013/11/26