染五郎、猿之助「明治座 花形舞踊公演」に向けて

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左より、尾上菊之丞、藤間勘十郎、市川染五郎、市川猿之助

 11月27日(木)・28日(金)、明治座で開催される、藤間勘十郎プロデュース 「明治座 花形舞踊公演」に出演の市川染五郎、市川猿之助が、藤間勘十郎、尾上菊之丞とともに、公演について語りました

 「舞踊の面白さを、より多くの方に知ってもらいたいと、今年は染五郎さん、猿之助さんの力も借りまして、まずは自分たち世代が頑張ろう」と、勘十郎が2回目の花形舞踊公演への意気込みを見せました。

縁の深い初共演、待望の再演
 27日は昼夜で、一緒に踊るのは初めてとなる猿之助と勘十郎が、『種蒔三番叟(たねまきさんばそう)』と『吉野山』を披露します。「三代猿之助四十八撰のほぼすべての作品が、お祖父様(二世藤間勘祖)の演出。孫と甥に受け継がれた関係で、これからゴールデンコンビを築いていきたい」と猿之助が言うと勘十郎も、「いかにも舞踊らしい舞踊と、歌舞伎舞踊。どういう出会いになるのか、今から楽しみ」と、初共演への期待を高めていました。

 27日には、勘十郎のもとで稽古を重ねている中村鷹之資も『玉兎』を踊ります。「お父様の富十郎さんはよき先輩、たくさんのアドバイスをいただいた。息子の鷹之資君の成長の手助けができれば」と、日頃の成果を披露する場がつくられました。

 28日は、染五郎の大星由良之助で『双草紙四谷怪談』。「『忠臣蔵』と『四谷怪談』を交互に見せる中で、小仏小平と又之丞の主従関係を出してみたい。早替りでない一人二役、素踊りだからこそできるものを考えたい」と勘十郎が構想を話しました。もう一つは、8月の「趣向の華」公演で初演した『煎じもの』で、「狂言『煎じ物』の設定を拝借し、花柳界の芸能を舞踊に取り入れて狂言の世界で見せます」と脚本・振付、出演の菊之丞。染五郎、勘十郎も初演と同じ役で踊り、それぞれに進化させるこの再演がとても楽しみだとも語りました。

踊り手の魅力、振付師の魅力
 「染五郎さん、猿之助さんには作品をわかってくださるという安心感がある。向かう方向が定まるので、作品がずれない」と勘十郎が踊り手としての二人について話すと、菊之丞も「踊りの振りは役を表出するためにつけるのですが、二人はおのずと役に見えるので、そのための振りは必要ないんです。また、同じ振りでも出てくるものが違っています」と、歌舞伎俳優二人の舞踊の魅力を述べました。

 「いや、振りって大事なんですよ」と反論したのは染五郎。「振りの意味を大事に踊ります。…でも、舞台に立つと楽しくなって、自分の中にいるほかの自分が何かを生み出すことは、正直言ってあります」とも明かしました。しかし、そんなふうに踊り手を楽しくさせてしまう振付をするのが勘十郎と菊之丞、そこが染五郎の本音のようです。「勘十郎さんについて言えば、引出しをたくさん持っていて、どこで何を出すのかの感性に優れ、こうすれば楽しいだろうということを形にできる判断力、決断力がある人です」。

 「医者に例えると振付の二人は、患者をよく診てくれる医者。一人ひとりを見極め、適切な処方をしてくれる医者です。そして患者の意見も聞き、無理な願いも聞いてくれてかつ、納得させる。こちらを見て理解したうえでの振付、あるべき姿の振付師だと思います」と言ったのは猿之助。優れた理解力をもつ者が出会い、魅力を引出し合って想像を超えるものが生み出される…。今年の公演も開幕が楽しみになりました。

 「明治座 花形舞踊公演」は、11月27日(木)・28日(金)の2日間3公演、チケットは 明治座、および、チケットWeb松竹チケットホン松竹ほか、各プレイガイドにて販売中です。

2014/10/30