猿之助、愛之助が語る「中日劇場四月花形歌舞伎」

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 4月4日(土)から始まる「中日劇場四月花形歌舞伎」に出演の市川猿之助、片岡愛之助が、公演に向けての意気込みを語りました。

猿翁が何度も客席上を飛んだ劇場で
 中日劇場の最大の特徴は、舞台の上手(かみて)側から客席2階下手(しもて)へ、客席の頭上をおよそ30メートルに渡って宙乗りができることです。猿翁が「中日の宙乗りが一番きれい」と言うのを聞いていた猿之助は、復活狂言やスーパー歌舞伎の公演で、「お客様が手を挙げて喜んでいらっしゃる、そんな興奮を目の当たりにして、ぜひ宙乗りを活かした作品をやりたい」と考えていたことを明かしました。

 一方で、「歌舞伎の古典、新作と並んで、長谷川一夫、大川橋蔵といった大先輩方がつくり上げてきた、歌舞伎でも現代劇でもない、見落とされがちだけれど素晴らしい作品をなんとか大事に残したい」という気持ちがあり、ぜひやりたかった『雪之丞変化』の上演が決まりました。しかし、「宙乗りが一カ所もない。伯父は、宙乗りは必然性がなければ盛り上がらない、と言っておりましたのでどうしようかと…」。

 「脚本・演出の石川耕士さんに相談したら、期せずして同じ発想を口にしたので、きっとこれはいけると思います。私は往復の宙乗りをさせていただきます。ですから、60メートルの宙乗りです。乞うご期待です」と、今回のための書き下ろし作品に自信のほどを見せました。

名古屋のお客様のお好みに合うように
 夜の部は、愛之助が平成14(2002)年8月に大阪のシアター・ドラマシティで平成若衆歌舞伎の第一作として上演した『新・八犬伝』。一昨年2月の大阪松竹座公演を経て、今回が3度目の上演となります。「初めて歌舞伎をご覧になる方にうってつけの作品で、もちろん、歌舞伎をよくご覧になる方にも面白いと思っていただける、歌舞伎味あふれる作品です」と、こちらも自信をもって公演に臨みます。

 「役者には、その土地のお客様がお好きそうなところが、なんとなくわかるんです。そういう勘、アンテナみたいなものがあります」と愛之助。「名古屋のお客様に喜んでいただけるように内容も変えます。気合を入れていきます!」と、中日劇場初登場の意気込みを語りました。四役早替りで奮闘を見せ、崇徳院では宙乗りも見せます。「距離が長いとうかがってどんな気持ちになるのか、お客様の頭上を宙乗りするのも初めてなので楽しみです」。

開場50周年を記念して
 幕開きに右近の三番叟で『操り三番叟』を上演し、開場50周年を寿ぐ中日劇場。今回の公演は、昭和41(1966)年に開業した中日劇場の50周年を記念する歌舞伎公演で、松竹株式会社副社長安孫子正が、「記念に当たって歌舞伎を呼んでいただき、感謝しております」とご挨拶し、同46(1971)年6月、六世中村歌右衛門と二世中村鴈治郎の『建礼門院』以来、あまたの名優が舞台を踏んだ中日劇場を紹介しました。

 その記念の公演に出演できることに、感謝と喜びを表した猿之助と愛之助。「スーパー歌舞伎の公演でこちらにうかがったのがいつも6月で、梅雨の名古屋のイメージが強くて…。今回は桜の季節の公演でうれしいです」と猿之助が言うと、愛之助は「名古屋は大好き。ひつまぶしが大好きで食べ物が合うんです。毎年、呼んでください」と、逆ラブコールで、会見場を沸かせました。

 「中日劇場四月花形歌舞伎」は、4月4日(土)~26日(日)の公演。チケットは、中日劇場チケットWeb松竹ほかにて販売中です。 

2015/03/10