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二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 

 

 2018年1月2日(火)の歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」から、幸四郎改め二代目松本白鸚、染五郎改め十代目松本幸四郎、金太郎改め八代目市川染五郎襲名披露の幕を開ける三人が、公演をひと月後に控えた現在の心境を語りました。

ついに始まる37年ぶりの高麗屋三代同時襲名

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 1月『車引』 染五郎改め十代目松本幸四郎

 「私自身が今までやってきたことを信じ、これからも同じく邁進してまいりたい」。十代目幸四郎を襲名する染五郎は、襲名発表からのこの一年、出演舞台を積み重ね、「今はただ1月2日の初日に向けてやるべきことをやる」、染五郎最後の一年の意味を問うのは、あとあとになるだろうと語りました。

 

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 1月『寺子屋』 幸四郎改め二代目松本白鸚

 息子にその名を受け渡す幸四郎は、先月25日の歌舞伎座千穐楽で幸四郎最後の舞台を勤め、以来、「二代目白鸚としてやるべきことがたくさんあるように思え、そちらに目を向けて歩み出しております。俳優の世界は競争社会。白鸚として自分を磨き、勉強し、精進していこうという気持ちでいっぱいです」と、あらためて気を引き締めました。

 

 「今年一年、準備を進めるなか、襲名の実感が沸いてきて、そのうち実感が責任、覚悟みたいなものに変わってきた感じがします」と、充実した一年を送ったことをうかがわせたのは金太郎。「1月に完全に染五郎になるわけではなく、そこがスタートだと思っています。完成した染五郎をお見せできるように勉強し、経験を積んでいきたい」。新染五郎としての心はすでに決まっているようです。

 

これぞ高麗屋というべき襲名披露狂言

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 1月『勧進帳』 金太郎改め八代目市川染五郎

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 1月『勧進帳』 染五郎改め十代目松本幸四郎

 十代目幸四郎の襲名披露狂言は、『車引』松王丸、『勧進帳』弁慶、『一條大蔵譚』大蔵卿、『熊谷陣屋』熊谷。「これだけの役々で幸四郎を始めさせていただく。こんな幸せなことはございません。いちばん高いハードルで始まります。自分が、それらを勤めるべき高麗屋の幸四郎であることを意識して勤めます」。そして、幸四郎とは「この4役に尽きる役者だと思う」と続けました。

 

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 2月『一條大蔵譚』
  染五郎改め十代目松本幸四郎

 二代目白鸚は、1月は『寺子屋』松王丸。「先輩からまとめて受け継いだ歌舞伎というものを、伝統芸能の歌舞伎とは別の、“芝居としての歌舞伎”を、九代目幸四郎として36年間考えてやってきました。そういう意味で、『寺子屋』はとても演劇的要素のある場面。襲名でもう一つこなれて、今度の白鸚はちょっと違うな、できれば、よく違っているなと感じていただけるような松王丸を演じられたらと思います。また、これは前髪の役なので、若さをお見せしたいですね」とにっこり。

 

 白鸚として2月に勤めるのは、『仮名手本忠臣蔵』「七段目」の由良之助。「父(初世白鸚)が染五郎とやったものを、私が孫と37年ぶりにできる。亡き父の私への思いやりのような感じに受け取れ、いろいろな思いが沸き上がってくるのではないでしょうか」と、感慨を込めました。 

 

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 2月『熊谷陣屋』
  染五郎改め十代目松本幸四郎

 八代目染五郎は、1月は父の弁慶で義経、2月は祖父の由良之助で力弥を勤めます。「(これまでの出演舞台で)大先輩がなさっていた義経を、自分がやっていいのか、という思いはありました」と、素直な心の内を明かしました。37年前の襲名披露で父が勤めた力弥を勤めることには、「ご縁を感じます。当時の父も同じような気持ちだったのかなと思いました」。

 

幸四郎という名前を継ぐことの意味

 「歌舞伎の襲名は、日本人独特の、日本人にしかわからないものではないか」と言ったのは幸四郎。ブロードウェイの舞台に立った経験から、ハングリー精神もいいけれど、日本では「認める役者に自分の名も与える。ただ、優雅にお行儀よく受け渡すのではなく、認める人がいなければ、名前というものは継げないのではないでしょうか。その証拠に、新幸四郎は、父の幸四郎は父の幸四郎、私は私の幸四郎をつくりますと言っております。親としては、とてもさわやかに、さっぱりと受け渡すことができました」。

 

 それを隣で聞いていた染五郎は、「幸四郎を名のって何をするかが大事。代々が続けてきた歌舞伎を、生きた歌舞伎として、代々の精神をしっかり受け継いで勤めていきたい」と、ぶれない信念を伝えたうえで、今回の襲名で「わずかながらも親孝行できたかな」と続けました。

 

プロフェッショナルの挑戦者になる

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 2月『七段目』 金太郎改め八代目市川染五郎

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

 2月『七段目』 幸四郎改め二代目松本白鸚

 十代続く幸四郎の名跡、「芝居に関して一所懸命、熱っぽくとり組む。歌舞伎の型のなかに心を吹き込んだような先祖だった」と、九代目として「芸に対して一直線」だったと振り返った幸四郎。そんな父に、「挑戦者というイメージ」を持っているという十代目幸四郎。「高麗屋は代々そういう生き方をしているのかなと思います」。

 

 新しいこと、面白いことを探していた30代。それらを「着実に形にしていこう」という40代。アイススケートと歌舞伎を融合させた「氷艶」など、次々実現する一方、「40代は“諦める”がキーワードになるかなと考えていました。できないのも自分だと、堂々といえる役者にならないといけない」。挑戦者として次の段階に進んでいる様子を見せました。

 

 挑戦する染五郎を見て幸四郎は、「芸は一代」という言葉を挙げました。「新幸四郎は素質も個性も魅力も全部違います。あとに続く者は努力、精進して自分の芸をつくっていく。それが歌舞伎の継承」と語り、「来年からはプロフェッショナルの挑戦者になりたいと思います。それが、高麗屋は挑戦者という言葉の裏付けになる。手に芸をつけた“アルチザン(職人)”として新たな名前でスタートいたします」。三人がそれぞれ襲名への思いを述べた取材会を、最後に新白鸚がそう締めくくりました。

 歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」は、2018年1月2日(火)から26日(金)まで、「二月大歌舞伎」は2月1日(木)から25日(日)までの公演。1月「壽 初春大歌舞伎」のチケットは12月12日(火)より、2月「二月大歌舞伎」のチケットは1月12日(金)より、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で発売予定です。

 

二代目白鸚、十代目幸四郎、八代目染五郎、襲名披露を前に

※襲名披露狂言スチール撮影:加藤 孝

2017年12月07日

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