4月6日（土）～21日（日）、香川県 旧金毘羅大芝居（金丸座）「第三十五回記念 四国こんぴら歌舞伎大芝居」に出演の中村勘九郎、中村七之助、市川中車、中村扇雀が、公演に向けて意気込みを語りました。

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　吉右衛門、澤村藤十郎、そして十八世勘三郎（当時 勘九郎）が金丸座と出会い、そこで歌舞伎を上演したいという情熱から、昭和60（1985）年に始まった「四国こんぴら歌舞伎大芝居」。勘九郎は、父の勘三郎が第二十五回記念公演（平成21年）の千穐楽の日に、「必ず30周年に来るからね」と、言っていたことを振り返り、「それが実現できなかったのが、今でも悔しく、寂しい思いです。父への恩返しとしても、今回の公演をいい芝居にしなきゃいけないな、という気持ちでいっぱいです。前回来たときから、名前も変わり、結婚もし、子どもも二人できました。一つでも二つでも大きな姿を皆様に見せられたら」と、第三十五回記念公演への思いを込めました。

 

金丸座との思い出

　勘九郎が初めて「四国こんぴら歌舞伎大芝居」に出演したのは10年前。ただ、実は、金丸座の舞台に初めて立ったのは「（昭和62年4月）祖父が『沼津』の久作を演じたときです。僕は見に行っていて、久作が客席を歩くときに、引きずりだされてご挨拶をしたんです。それが最初の金丸座との出会いですね。10年前に、父の久作と一緒に『沼津』ができて、不思議な感覚に陥りました」。今回の昼の部では『義経千本桜』「すし屋」の権太を勤めます。『義経千本桜』という、「歌舞伎でも名作中の名作の芝居で、型という先人たちが築きあげた素晴らしいものが残っていますが、やはりその型に心を乗せなければ型だけになってしまいますので、しっかり権太という人生を生きてやってみたい」と熱く語りました。

 

　七之助は、父が金丸座を見て、「（この劇場に）魂を吹き込まなくちゃいけない」と、「新しく、無理じゃないかと考えるところを突き進んでいった、その光景が目に浮かびます。（吉右衛門、藤十郎、勘三郎）三人の情熱、琴平の皆様の情熱、そして35年間公演を続けてこられた諸先輩方の努力や愛を、肝に銘じ、35周年という記念のこんぴら歌舞伎を一所懸命勤めていきたい」と話しました。「金丸座は虫の音とか、本当に舞台の外の音が効果音として聞こえて、こういうところで昔はやっていたんだろうなという気持ちにさせてくれる小屋です。ご覧になったことがないお客様はぜひ一度いらしてください、あの小屋に入っただけで世界が変わりますので」と来場を呼びかけました。

 

　金丸座の魅力は音だと、七之助に同意する中車。平成28（2016）年4月に金丸座で上演した『あんまと泥棒』に出演した際、「ひたすら鶯がいいタイミングで鳴いていた思い出があります。大向うのように、ほけっきょと鳴くので、わかってるな、鶯も」と思ったとのこと。今回の出演にあたり、「あらためて勘三郎さんの存在を強く感じます。思えば、僕が最初に歌舞伎の舞台に立ったときに、何より勇気づけてくださったのが勘三郎さんでした」。今回、中車は、『義経千本桜』「すし屋」で鮓屋弥左衛門を勤めます。「第三十五回記念公演にあたって、（権太を勤める）勘九郎さんと親子になるという、その立ち位置も含めて、勘三郎さんが命懸けでやれと、おっしゃられている気がします」と話しました。

 

役者魂がわく劇場 

　金丸座へは、6回目の出演となる扇雀。金丸座に行くと「役者魂がふつふつと湧いてくる」と言います。平成19（2007）年に『葛の葉』を上演したときは、耐震工事を終えた金丸座のかけすじを使って宙乗りを行い、ぶどう棚から「客席全面に木の葉を落とさせていただきました」。また、平成21（2009）年に七之助と『新口村』を勤めた際には、幕切れは本来、孫右衛門が一人舞台に残り、「（忠兵衛と梅川は）上手の奥に引っ込みますが、仮花道が上手（かみて）にあるので、お客様のほうに引っ込もうと、仮花道の上にも雪を降らせました」。今回も、金丸座ならではの演目の工夫に期待が高まります。

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　旧金毘羅大芝居（金丸座）「第三十五回記念 四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、4月6日（土）から21日（日）までの公演。チケットは、2月24日（日）より、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で発売予定です。なお、会見の様子は、ニコニコ動画「歌舞伎チャンネル」でご覧いただけます。