2022年1月21日（金）～23日（日）に新橋演舞場で開催される、市川海老蔵企画公演「いぶき、」に向け、出演者が公演への思いを語りました。

▼

　市川海老蔵が次世代の俳優たちのさらなる活躍を願い企画した「いぶき、」。公演タイトルには、未来へつなぐ新しい挑戦、という思いが込められています。今年の6月に南座で上演され、花形俳優たちの奮闘が大きな話題を呼びました。このたびは新橋演舞場で、彩り豊かな3つの狂言に挑みます。

 

感謝と責任感を胸に挑む

　古典を学びたいという思いから、勉強の場を自ら志願したという中村児太郎。前回公演を振り返りながら、「公演の責任を負わなければいけないプレッシャーが非常に大きかったです。また次があるかどうかも、今回の自分たちの公演の出来、結果次第。誠心誠意、命をかけて勤める所存です」と、決意を見せます。市川九團次は、「前回はただただ勤めることに精一杯で、必死に終わった4日間でしたが、皆で協力し一つになれた公演でもありました。1回目の経験を教訓に、さらにいいものにできたらと思っています」と、語りました。

 

　大劇場でそれぞれが大役に挑んだ前回公演では、今までにない緊張感があったと口をそろえる一同。叔父の中村雀右衛門に教えを乞うたという大谷廣松は、「先輩に習ったことをするだけでも大変ですが、さらに自分の個性を出して芝居をしていく大変さも勉強できました」と、噛みしめます。中村芝のぶは、「通常の勉強会とは異なる緊張感のなかで舞台ができ、役を勤める難しさを感じたことが、一番大きな勉強になりました」と、感慨深げに語りました。

 

　今回の幕開きは、お正月らしい華やかな舞踊『春調娘七種』。芝のぶが静御前、市川福太郎、福之助の兄弟が曽我十郎、曽我五郎を勤めます。福太郎が、緊張の面持ちで「子役をしておりました時分から、『寿曽我対面』などでとても憧れていたお役ですので、大変うれしい思いです」と語ると、福之助も、「この舞台を設けてくださった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。先輩方の胸を借りる思いで、一所懸命勤めさせていただきます」と続けます。「若さに負けないように頑張りたいと思います」と、芝のぶも笑顔を見せました。

 

一丸となってつくりあげる、世話物の空気感

　続いて、世話物の名作『与話情浮名横櫛』「源氏店」です。与三郎を勤めることについて九團次は、「人気狂言の、数々の先輩方が勤められたお役を自分がさせていただくのは非常に怖さがありますが、最大のチャンスだと思いますので、与三郎の雰囲気を研究しながら勤めたいです」と心境を口にします。お富を勤める廣松は、「先輩方の源氏店を見ていると、（お富と与三郎の）惚れた惚れられた、が人それぞれ。今回は本気で九團次さんに惚れてもらえるよう、全力で勤めます」と、構想を明かしました。

 

　和泉屋多左衛門を勤めるのは、市川新蔵。十二世市川團十郎のもとへ入門した頃に、團十郎が与三郎を勤めていたと思いを馳せながら、「とても懐かしい、思い出深い狂言です。しっかり勤めたいと思います」と、笑顔。蝙蝠の安五郎を演じるのは市川新十郎。「難しいお役ですが、いかに自然にできるかを目指して、江戸の空気を感じていただけるようなお芝居にできればと思っております」と、意気込みました。

 

　市川右若は、「（演じる）下女およしは、歌舞伎界の諸先輩方が勤めていらっしゃる、女方の登竜門のようなお役。さまざまな先輩の教えを受け継いでいきたいです」と、気を引き締めます。番頭藤八を勤める市川升三郎は、「普段は年長の方がなさるようなお役ですので、お客様に違和感を与えないように、クオリティを突き詰めたいです。新橋演舞場に見合う公演だと思っていただけるようにできれば」と、気合十分に語りました。

 

歌舞伎の未来に向けて 

　児太郎は、成駒屋にとって大切な演目『忍夜恋曲者』「将門」で、傾城如月実は滝夜叉姫を初役で勤めます。「『将門』をとお話をいただき、私もやりたいと思っていたお役でした。振付の藤間勘祖先生と父からしっかり習い、歌右衛門家の芸を継承できるようにしたいです」と、意欲を見せます。「（大宅太郎光圀を勤める）蔦之助さんと、舞台を楽しめたら」と、期待を寄せました。

 

　蔦之助は、「私が相手をさせていただけることは本当に恐縮な限りですが、これから歌舞伎役者を目指そうと思っている若者へ向けても、希望となる公演になるのではないかと思いますので、たくさん勉強してしっかり勤めさせていただきたいです」と、気合をみなぎらせます。11人それぞれが緊張した面持ちながら、ときに軽妙な掛け合いを見せ、志をともにする者同士の確かな絆も感じさせました。

▼

　自身の役者としての成長とお客様の感動のため、出演者一人一人が強い責任感をもって挑む「いぶき、」。1月の新橋演舞場でお届けする熱い舞台に、期待がふくらみます。チケットの詳細についてはこちらをご覧ください。