二月花形歌舞伎
上演時間
昼の部
| 上演時間 |
慶安の狼
丸橋忠弥 |
11:00-12:35 |
| 幕間 35分 |
「鳰の浮巣」より
大當り伏見の富くじ
|
1:10-2:45 |
夜の部
| 上演時間 |
義経千本桜
すし屋 |
4:30-6:00 |
| 幕間 35分 |
研辰の討たれ
|
6:35-7:55 |
演目と配役
昼の部
一、慶安の狼(けいあんのおおかみ)
丸橋忠弥
丸橋忠弥 獅 童
野中小弥太 愛之助
由比正雪 染五郎
田中格之進 亀 鶴
石山平八 松 也
内藤主膳 薪 車
本吉新八 宗之助
廓念 錦 吾
忠弥妻節 高麗蔵
忠弥母藤 竹三郎
金井半兵衛 友右衛門
牧野監物 歌 六
「鳰の浮巣(におのうきす)」より
二、大當り伏見の富くじ(おおあたりふしみのとみくじ)
紙屑屋幸次郎 染五郎
信濃屋傳七 愛之助
黒住平馬 獅 童
芳吉 亀 鶴
喜助 松 也
幸次郎妹お絹 壱太郎
新造雛江 米 吉
千鳥 宗之助
男衆虎吉 薪 車
仲居頭おとり 吉 弥
熊鷹お爪 竹三郎
鳰照太夫 翫 雀
雪舟斎 歌 六
夜の部
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
すし屋
いがみの権太 愛之助
弥助実は三位中将維盛 染五郎
梶原平三景時 獅 童
娘お里 壱太郎
若葉の内侍 米 吉
弥左衛門女房お米 吉 弥
鮓屋弥左衛門 歌 六
二、研辰の討たれ (とぎたつのうたれ)
守山辰次 染五郎
平井九市郎 愛之助
平井才次郎 獅 童
八見伝介 亀 鶴
小平権十郎 松 也
宮田新左衛門 宗之助
中間市助 薪 車
湯崎幸一郎 錦 吾
粟津の奥方 高麗蔵
平井市郎右衛門 友右衛門
吾妻屋亭主清兵衛/僧良観 翫 雀
みどころ
昼の部
一、慶安の狼(けいあんのおおかみ)
丸橋忠弥
徳川三代将軍家光の治世、多くの大名家を取り潰した結果、天下は俄浪人達で溢れていた。本郷の居酒屋「柳屋」には槍術の名手丸橋忠弥と由比正雪の門弟達浪人の姿があった。そこへ、旧友の野中小弥太がやって来て、忠弥を藩へ推挙していると話すが、忠弥はそれを固く断る。実は忠弥は由比正雪達と幕府転覆の計画をたてていたが、計画に邪魔となる小弥太を殺せと要求されており、苦悩していた。いよいよ計画が決行されようという時、忠弥は酒に酔って計略を大声で豪語する。そんな忠弥の軽率さに、忠弥配下の本吉が危惧の念を抱き、異を唱えだした。悩む正雪だったが計画の為に、本吉に忠弥を撃つことを許すのであった。
丸橋忠弥、由比正雪を中心とする「慶安の変」は、幾つもの名舞台を生み出しています。ことに小幡欣治作「慶安の狼」は、過去の作品からは一線を画した斬新な作品として、新国劇で上演されました。丸橋忠弥を理不尽な時代の体制に怒りを叩きつけていく若者として描くことで、一種の社会劇として高い評価を受けたのです。中村獅童が演じる、繊細に悩み、苦しみながら己の道を貫く丸橋忠弥像にご期待ください。
「鳰の浮巣(におのうきす)」より
二、大當り伏見の富くじ(おおあたりふしみのとみくじ)
元は質屋佐野屋の若旦那であった紙屑屋幸次郎は、潰れた店を再興しようと一生懸命働いていますが、遊女の鳰照太夫に出会ったことで見惚れてしまい、うっかり犬を踏みつけ脛を噛まれるような始末。今では鳰照太夫のことで胸がいっぱい。幸次郎の妹のお絹は借金の為に島原の茶店で働いており、黒住平馬という侍が横恋慕し強引に口説こうとしている。そんなある日、幸次郎は一攫千金を夢見て、伏見稲荷の富くじを買うことにした。その富くじが何と大当たり!しかし本当の札は手違いで紙屑籠と一緒に川に捨ててしまっていた!?どうする幸次郎!!
明治十四年、初代中村鴈治郎にあてて書かれた喜劇調の大阪世話物『鳰の浮巣』に想を得た本作。松竹新喜劇では『浮かれかご』として上演され、人気を得ました。また同じ上方の若旦那を主人公にした『大当り高津の富くじ』という作品は、現在でも人々に親しまれています。今回は齋藤雅文が脚本・演出を担当し、新たな作品として生まれ変わります。市川染五郎が上方の若旦那で今は零落している紙屑屋幸次郎を演じ、喜劇としての歌舞伎を目指し新しい試みの作品となりました。
夜の部
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
すし屋
下市村の釣瓶すし屋は連日大勢の客で溢れている。店を営む弥左衛門は、その昔、助けてもらった平重盛への旧恩から、その子息の維盛を使用人の弥助として匿っている。しかしこれが源頼朝の重臣の梶原景時に知れ、維盛の首を差し出すように命じられていた。一方、弥助に恋していた弥左衛門の娘のお里は、ある晩訪ねてきた親子が維盛の御台所若葉の内侍と、一子六代である事実を知り三人を逃がす。しかし、弥左衛門の息子で放蕩者の権太はその想いを裏切り、維盛詮議に来た景時に、褒美欲しさに維盛の首と縄にかけた内侍親子を突き出す。怒った弥左衛門は思わず権太を刺すが、その時若葉の内侍と六代が現れる。驚く弥左衛門達に権太が明かす、隠された真実とは...
歌舞伎三大名作の一つとして有名な『義経千本桜』は江戸中期の延享四(一七四七)年に人形浄瑠璃として初演され、翌年歌舞伎として初演されました。中でも「すし屋」は、いがみの権太と呼ばれるならず者が、父弥左衛門の許しを得ようと改心し、維盛親子を助けようとして逆に父親に殺されるという、悲劇の結末に親子の情と悲哀を感じる作品です。お里のクドキ、すし桶を構えた権太の引っ込み、そして権太が本心を明かすモドリなど、見どころの多い作品です。自身二度目となる、いがみの権太を片岡愛之助が勤めます。
二、研辰の討たれ (とぎたつのうたれ)
粟津城中の侍溜りの間には、泰平の世をもてあます大勢の若侍が所在なげにしていた。その中には、殿様や家老の刀を研いだのが縁で、先ごろ町人から侍に取り立てられた研屋の辰次もいた。うまく取り入り侍となったものの、根っからの町人根性は抜けず、媚びやお追従を並べたてる辰次に、周りの侍たちは我慢を堪えていた。聡明な家老の平井市郎右衛門は、余りに鼻持ちならないので、皆の前で辰次を激しく罵倒し、唾をはきかけ去っていく。悔しくてならない辰次は、市郎右衛門を待ち受け、だまし討ちで斬ってしまう。平井の長男九市郎と次男の才次郎が駆けつけ、敵討ちを恐れる辰次は逃げ去り、九市郎と才次郎は敵討ちの旅に出るのであった―
文政十(一八二七)年に起きた実際の仇討事件をニュース劇として上演した『敵討高砂松』をもとに、木村錦花が『研辰の討たれ』として書き、平田兼三郎の脚色で大正十四年十二月歌舞伎座で初演されました。この時、辰次を演じたのが二代目市川猿之助(後の猿翁)、その後三代目實川延若、中村勘三郎などにより何度も上演されている人気演目です。今回の大阪松竹座では市川染五郎が守山辰次を、九市郎と才次郎の兄弟を、片岡愛之助、中村獅童が初役で演じます。