その他の公演
赤坂大歌舞伎
平成22年7月12日(月)~29日(木)
一、人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
【解説とみどころ】この作品は、名人三遊亭円朝が口演した人情噺を元に、榎戸賢治が脚色し、明治35年(1902)に歌舞伎座で五世尾上菊五郎が初演した、笑いあり、涙ありの人情劇です。
映画界の巨匠山田洋次が、平成19年10月の新橋演舞場における上演と同様、補綴として参加し、江戸の市井に生きる人々の姿を生き生きと描き出しています。
【あらすじ】
腕の良い左官の棟梁だった長兵衛だが、博打にうつつを抜かし、今ではすっかり落ちぶれている。今日も賭場へ出かけ着物まではぎ取られて家に帰ってきたが、家の中は真っ暗闇。明かりも点けず、女房のお兼がひとり塞ぎ込んでいる。お兼は娘のお久が出かけたまま帰って来ないと話し、長兵衛の身持ち放埒に愛想を尽かし、お久が家を出ていったのだと愚痴るのであった。
ここへ得意先である吉原の大籬、角海老の手代藤助がやって来る。藤助はお久が角海老に来ていると告げ、長兵衛と話をしたいという角海老の女房の言葉を伝える。これを聞いた長兵衛は、お兼の着物を剥ぎ取り藤助の羽織を借りて角海老へと向かうのであった。
角海老の女房お駒の部屋にいたお久に向い、無断で家を出たことを叱り始めた長兵衛であったが、かえってお駒にとがめられてしまう。実はお久が家を出て角海老へやって来た理由は、長兵衛の放蕩にあった。日頃から、博打にうつつを抜かし、それがもとでお兼と絶えず言い争う様子を見て、心を痛めていたお久は自分の身を売り、金を拵えることで長兵衛に心を入れ替えて、以前のような働き者になって欲しいと願ったのである。お駒は、お久の健気な心根を褒め、長兵衛に意見した上で、来年の大晦日まではお久を店に出さないが、それを過ぎたら店に出すと告げ、五十両の金を貸し与える。
娘の思いとお駒の情けに感じた長兵衛は、男泣きに泣き、我が身を恥じた上、性根を入れ替え、一日も早く金を返し、お久を迎えに来ると約束して、角海老を後にするが...。
二、鷺娘(さぎむすめ)
【解説とみどころ】この作品は、宝歴12年(1762年)4月、江戸市村座で上演された『残雪槑曾我』の二番目大詰所作事『柳雛諸鳥囀』という六段返しの舞踊のひとつとして初演されました。
しかしその後は、上演が途絶えていましたが、明治19年(1886年)九世市川団十郎が『月雪華三組杯觴』という三変化舞踊の中復活上演しました。これを契機に、以後、人気舞踊のひとつとして、今日まで上演を重ねています。
鷺の精が、娘の姿となって、道ならぬ恋に悩む様子を踊り、最初のクドキはみどころです。そして、地獄の責め苦に苛まれる苦しい様子をあらわす踊りは、鷺の本性を顕し、降りしきる雪の中、羽を苦しそうに羽ばたかせる場面は、この舞踊の最大の見せ場です。
【あらすじ】
しんしんと雪の降る水辺の柳の下に、蛇の目傘を差した白無垢の娘がひとり佇んでいる。娘と見えたのは、実は白鷺の精。やがて、鷺の精は美しい町娘に転じ、その恋心を様々に見せていくのだが...。
