新橋演舞場
花形歌舞伎
平成20年11月1日(土)~25日(火)
昼の部
一、通し狂言 伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
阿波の国家老、今田九郎右衛門の息子万次郎は、将軍家へ献上する青江下坂の名刀紛失の詮議のため伊勢へ来ましたが、古市の遊女お岸の色香におぼれて通いつめています。刀を折角探しあてたものの、質入れして遊びの金としてしまい、大切な鑑定書である折紙まですり替えられてしまいます(「相の山」)。宿では、万次郎の後見役藤浪左膳から助力を乞われる家来筋の福岡貢。万次郎を陥れようとする敵方の様子をうかがう奴林平と貢は、御家横領の詮議の手掛かりとなる密書を手に入れます(「宿屋・追駈け地蔵前・二見ヶ浦」)。
賑わう古市の遊女屋の油屋に、首尾よく手に入れた刀を万次郎へ渡そうと貢はやって来ますが行き違いとなり、挙句の果てに、互いに想い合っていたはずのお紺から突然愛想づかしをされます。逆上して、刀もすり替えられたと思った貢は、意地の悪い仲居の万野を始め、次々と人を斬り捨てていきますが、実は貢が手にしている刀は...(「油屋・奥庭」)。
この演目は寛政八(1796)年に近松徳三がわずか三日間で書き上げて大評判となりました。東京では約二十年振りに相の山から奥庭までの上演となります。今回は、貢を初役で海老蔵が勤め、愛之助の料理人喜助、獅童の奴林平という清新な配役で、世話物狂言の名作をご覧頂きます。
二、義経千本桜 吉野山(よしのやま)
源義経は兄頼朝と不仲になり、河連法眼を頼って吉野山へと逃れていきました。義経を慕う静御前は、家来の佐藤忠信と共に、義経を捜して吉野の山中を分け入っていきますが、いつの間にか同道していたはずの忠信の姿を見失います。ところが、初音の鼓を打ち鳴らすとどこからともなく忠信が現れ出でます。静御前の旅の憂さを晴らすため、忠信は壇ノ浦の合戦の様子を物語るところ、追手の逸見藤太が家来と共に現れます。忠信は藤太たちを追い散らし、静と共に道中を急ぐのでした。
満開の桜が咲き誇る吉野山を背景に、随所に見せ場が多く、歌舞伎舞踊の中でも屈指の人気を誇る作品です。踊りに定評のある松緑と菊之助の配役で華やかな一幕をお楽しみ頂きます。
夜の部 
一、通し狂言 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
足利頼兼は廓通いに明け暮れ、大磯の廓からの帰りに襲われますが事なきを得ます(「花水橋」)。御家横領を企む首謀者の仁木弾正と妹八汐は、鶴千代の乳人政岡を陥れようとして失敗します(「竹の間」)。
政岡が鶴千代とわが子の千松のために御膳の用意を始めると、そこへ管領山名宗全の奥方栄御前が、鶴千代に菓子を持参して訪れます。すかさず飛び出して菓子を口にする毒見役の千松。苦しみもがく千松を見て、八汐は息の根を止めますが政岡は顔色ひとつ変えません。栄御前は、政岡が鶴千代と千松を取り替えていたのだと思い、政岡に連判状を預けます。ひとり残った御殿で、政岡はわが子の死に号泣。そこへ八汐が斬りかかってくるのを政岡は見事に仕留めますが、連判状は鼠に持ち去られてしまいます(「御殿」)。
その鼠を、床下で荒獅子男之助が捕まえるも取り逃します。鼠の正体こそ、実は仁木弾正(「床下」)。 一方この内紛は幕府の問注所で評決を受けることになり、山名宗全の裁きによって弾正方に有利になります。その危急に細川勝元が姿を現して...(「対決・刃傷」)。
"伊達騒動もの"の中でも、代表的な作品で、数多く上演されている時代物の名作です。政岡は女方では最高の役と言われることもある大役で、今回は菊之助が初めて勤め、松緑の勝元、海老蔵の弾正、愛之助の八汐、獅童の男之助と今勢いのある花形たちが揃いました。
二、龍虎(りゅうこ)
天の王者たる龍と、地の覇者たる虎。互いに相譲らぬ勢いで戦いを挑みます。しかし、両雄の戦いは果てしないものとなります。毛を振りたて勇ましい戦いを繰り広げていきますが、雌雄は決することはなく、見上げる頂には月が煌々と照っています。愛之助、獅童が気高く、そして猛々しい龍虎を勤める注目の舞台。ダイナミックな竹本の演奏と共に展開される若さみなぎる踊りをご期待下さい。




