みどころ



新橋演舞場

五月大歌舞伎

平成21年5月2日(土)~26日(火)


昼の部

一、祇園祭礼信仰記

  金閣寺(きんかくじ)

 謀反を企む松永大膳は、将軍足利義輝を殺害し、母親の慶寿院を金閣寺の二階に軟禁しています。金閣の天井へ墨絵の龍を描かせるために、狩野之介直信とその妻で雪舟の孫でもある雪姫が引き立てられてきます。
 そこへ此下東吉が現れ、主君小田春永を見限り、大膳の傘下に付きたいと申し出ます。一方、手本がなければ龍を描くことができないと断る雪姫のために、大膳が刀を滝にかざすと龍が出現。この刀は雪姫の祖父が唐から持ち帰った倶利加羅丸で、大膳こそ雪姫の父の敵と露見します。大膳は、斬りかかる雪姫を桜の木に縛りつけると、直信の成敗を命じます。悲嘆にくれる雪姫は、祖父雪舟の故事を思い出し、降りしきる桜の花びらをかき集め、足で鼠を描くと...。
 〝国崩し〟という天下を狙うスケール大きな悪の大膳を吉右衛門が勤め、〝三姫〟のひとつ雪姫を芝雀が初役で、父雀右衛門が昭和54年に演じた人形振りの型でお目にかけます。颯爽とした東吉に染五郎と充実の配役でご覧頂きます。


二、上 心猿(しんえん)

  下 近江のお兼(おうみのおかね)

 文化十(一八一三)年に初演の、近江八景を見立てた八変化舞踊『閏茲姿八景』の秋の部にあたるもの。
 『心猿』は、本名題を『心猿の秋月』といい、大津坂本の日吉神社が舞台。山王さまの使いの猿が、頭に烏帽子、手に金の幣をもち、神馬をひいて現れ、賑やかに踊ります。『近江のお兼』は、『晒女の落雁』として上演されました。琵琶湖を望む堅田のあたりに、伝説で知られる怪力の娘お兼が洗い物を入れた盥を抱えて現れます。暴れ馬を静めたり布晒しを力強く行ったりと変化に富んだ長唄舞踊です。
 今回は17年ぶりに『心猿』からの引き抜きでの上演となり、福助が心猿とお兼を勤める注目の一幕です。


三、眠駱駝物語

  らくだ

 駱駝とあだ名される遊び人の馬吉は、昨夜食べた河豚に当たって頓死。その始末を遊び人仲間の手斧目の半次がすることになり、ここへ通りかかった紙屑買の久六に手伝わせて弔いの金を用立てようと企み、金を出し渋る家主の家に馬吉の死体を背負っていき、カンカンノウを踊らせ、家主夫婦を脅して金を手にします。そして半次と久六は酒盛を始めますが、だんだんと久六が酒に酔っていき...。
 吉右衛門が初役で久六を勤め、歌昇の半次、歌六の家主佐兵衛、段四郎のおいくの配役により、落語をもとにした、おかしみ溢れる作品をお楽しみ下さい。


夜の部

一、鬼平犯科帳(おにへいはんかちょう)

  狐火
 江戸市ヶ谷にある薬種問屋で、店の者を皆殺しにした、押し込み強盗事件が起こります。その現場に狐火を描いた札が貼られていたために、狐火勇五郎一味の仕業と考えられましたが、残忍な盗みは勇五郎が最も嫌うものでした。
 火付盗賊改方長官の長谷川平蔵は、かつて狐火の一味にいた密偵のおまさに事情を尋ね、すでに勇五郎が死んだこと、また勇五郎に又太郎、文吉という二人の息子がいたことを知り、何か思うところがある様子です。一方、おまさは、勇五郎の片腕であった瀬戸川の源七の茶店に乗り込み、そこで意外な人物に再会します。おまさと同じく密偵である相模の彦十や、小房の粂八は、おまさとは別に狐火の一件に探りを入れ...。
 池波正太郎の代表作で、いまも高い人気を誇る『鬼平犯科帳』より「狐火」を世話物としてお目にかけます。長谷川平蔵を吉右衛門が勤め、おまさには芝雀、反発する二人の兄弟・又太郎と文吉を錦之助染五郎、『鬼平犯科帳』に欠くことのできない密偵の彦十と粂八を段四郎歌昇、瀬戸川の源七に歌六と魅力あふれる顔合せでご覧頂く注目の舞台です。


二、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)

  お染の七役
 質店油屋の娘お染と山家屋清兵衛の縁談が進められていますが、お染には久松という言い交わした相手がいます。しかし久松にもお光という許嫁があり、元は武家の子息ですが、紛失したお家の重宝午王吉光の短刀と折紙の行方を求めて油屋へ丁稚奉公しています。姉の竹川も久松の身を案じており、質入れしている午王吉光を取り戻す金の工面に土手のお六を頼ります。
 お六と亭主の鬼門の喜兵衛は、油屋で金を騙し取ろうと一計をめぐらしますが、あえなく失敗。一方お染は、久松の子を宿しながらも添い遂げることができないために心中する覚悟で家を抜け出します。そして久松も後を追いますが、ふとしたはずみで喜兵衛を手にかけてしまいます。やっとのことでお染に追いついた久松ですが...。
 主な登場人物を次々と演じ分ける〝早替り〟の代表的な演目です。お染、久松、お光、貞昌、竹川、小糸、お六の七役を福助が勤め、喜兵衛には染五郎、山家屋清兵衛を歌昇、百姓久作に段四郎と華やかな配役での見逃せない舞台をご堪能下さい。

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