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『陰陽師』晴明神社での成功祈願と主題曲「月光波」「夜明」奉納演奏
8月15日(木)、東京 築地本願寺で作曲者、き乃はち氏の演奏による新作歌舞伎『陰陽師』主題曲の奉納演奏が行われ、演奏後には出演者の市川染五郎と原作者の夢枕獏氏も登場してトークが公開されました。
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築地本願寺の本堂で行われた奉納演奏は、『竜馬がゆく』(平成19年9月歌舞伎座)の主題曲として使用された「宙へ」の演奏から始まりました。終戦の日のこの日、築地本願寺で奉納演奏をすることに特別の思いで臨んだき乃はち氏は、全身全霊で曲を奏で、「この曲に引っ張られて『竜馬がゆく』の3作ができたと思っている」と言う染五郎も、当時を思い起こしていまだに感動を忘れられないと話しました。
関係者らによる奉告法要に続き、いよいよ『陰陽師』の主題曲の演奏です。力強いリズムを刻みながら、これから始まる物語の大きさを予感させるオープニング曲の「月光波(げっこうは)」。エンディング曲の「夜明(よあけ)」は、響き渡る笛の音が物語世界の余韻となって心に残る一曲。2曲の演奏が終わると、会場には大きな拍手がわき上がりました。
演奏を聴いて泣きそうなほど感激したと言う染五郎は、「自分のこの感動を舞台にぶつけ、その熱さを最後まで保ち続けたい」と気持ちを表し、「この曲という大きな支えがあるので、雅びで、力強くて、スケールの大きな、そして豊かなすごい作品になると、あらためて確信しました。柿葺落興行初の新作ですから、桁違いにスケールの大きな作品にし、これからの新作歌舞伎の道筋をつくりたいと思っています」と、いっそう意欲的な姿勢を見せました。
「台本を読んで、ふっとメロディーが浮かび、『竜馬がゆく』のときのことや、染五郎さんを思い浮かべながら曲をつくりました」と言う作曲者のき乃はち氏はこの3日前、『陰陽師』にも登場する平将門の創建と伝えられる山形県鶴岡市の国宝、羽黒山五重塔で奉納演奏を行ってきたばかり。以前、この地で奉納演奏を行ったときの「五重塔の匂いを思い出しながら」曲づくりをしたとのことで、さまざまな思い、つながりがこの楽曲を生み出したことが明かされました。
夢枕氏も、「イメージがわいてきて、もう作品が完成したと感じました。音の力はすごいですね。これが歌舞伎座に鳴り響くと思うと...」と、やはり感動を隠し切れない様子。き乃はち氏は「作品に参加させていただき、邦楽奏者として心から感謝しています。今日は曲に魂を入れられればと思っていました。幕が開いたら、染五郎さんたちがまた違う形で魂を入れてくれることと思います」と話し、二人ともに初日を待ち望んでいることがうかがえました。
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前日の14日(水)には、安倍晴明を祀る京都の晴明神社を訪れ、成功を祈願した染五郎。晴明の屋敷跡に建つ神社で「見守ってください、降りてきてください」と祈ったそうですが、「宮司さんにいろいろうかがい、役づくりにあたってのキーワードをたくさん蓄えてきました。あとは、いかに具体的に、視覚的に伝えていくか、共演者と関わっていけるかです。いかに晴明になり切れるかだけを考えて、遠く高いところを目指したい」と、話しました。
奉納演奏の最後に、染五郎が「『陰陽師』は記録と記憶に残る作品になると確信していますので、期待してください」と力強く語り、「当日でも販売する席があるので、あきらめないで」と公演をアピールして会は終了しました。
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新作歌舞伎『陰陽師』は9月1日(日)より、歌舞伎座新開場柿葺落「九月花形歌舞伎」夜の部にて上演。なお、主題曲2曲を収録した『陰陽師』は、初日より歌舞伎座売店、インターネットにて販売予定です。