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獅童、勘九郎、七之助が語る「赤坂大歌舞伎」

勘九郎、七之助、獅童が語る「赤坂大歌舞伎」

 

 5月5日(火・祝)から始まるTBS赤坂ACTシアター「赤坂大歌舞伎」に出演する中村獅童、中村勘九郎、中村七之助と、脚本・演出を勤める源孝志が、公演について語りました。

 今回で3年ぶり、6回目の公演を迎える「赤坂大歌舞伎」は、三遊亭圓朝の傑作落語であり、これまで歌舞伎で何度も上演を重ねてきた『怪談 牡丹燈籠』を、新作歌舞伎として上演。昨年放送されたテレビドラマ版の脚本・演出も手がけた源が獅童、勘九郎、七之助とともに新たに挑む本作品に注目が集まります。

 

それぞれがもつ赤坂歌舞伎への思い

 三人がそろって「赤坂大歌舞伎」へ出演するのは平成25(2013)年、十八世中村勘三郎の意志を受け継いで上演した『怪談乳房榎』以来。7年ぶりに「赤坂大歌舞伎」に出演する獅童は、「久しぶりに気心知れた仲間と芝居をつくれるので、今から非常に胸がふくらんでおります」と述べました。歌舞伎の『牡丹燈籠』に出演するのはこれが初めてとなります。「また新しい『牡丹燈籠』を(つくりたい)。こういうのは稽古場が楽しくて、皆で意見をぶつけ合いながら楽しい作品になるのではないかと思います」と、笑顔を見せました。

 

 勘九郎は「父が亡くなりまして、この赤坂大歌舞伎はできないと思っていました。その翌年、三人でやらさせていただいて、次に繋がるかがすごく心配だったのですが、赤坂大歌舞伎がいろいろな方向に広がると確信した公演でございました」と過去の公演を振り返りました。今回の公演は「今までの赤坂大歌舞伎とは違った、ドロドロした愛憎劇のなかに美しさがある舞台になると思います」と期待を込めます。

 

 昨年放送されたテレビドラマ版で新三郎を演じた七之助は、「これまで歌舞伎版の『牡丹燈籠』で、お峰とお露と新三郎と3役やってきたのですが、その脚本しか知らなかった。源監督の脚本を読んだときにこれは深いところまで描いている素晴らしい作品」だと感じたと言い、「違う形で歌舞伎にできないか」と、源と話し合ったとのこと。構想からわずか1年で今回の新作歌舞伎の上演に至ったことを明かしました。「このスピーディーさを力として、勢いがある作品を皆でつくり上げていきたい」と、力強く意気込みました。

 

 三大怪談噺が展開する人間ドラマ

 美男の浪人新三郎を慕うあまりに恋焦がれて死んでしまったお露が、幽霊となり毎晩彼のもとへ通うという、怪談ものでありながらも男女の愛憎、人間の煩悩や本能を描いた『怪談 牡丹燈籠』。今回、獅童は宮辺源次郎と伴蔵、勘九郎は黒川孝助と新三郎の2役を勤め、七之助はお露、お国、お峰の3役を勤めます。

 

 獅童は、自身が演じる源次郎と伴蔵を「放蕩野郎と小悪党」とひと言。「歌舞伎になると観ているお客様が、たとえそれが殺人鬼であっても、しょうがないよね、可哀そうだなと(思う)。そこが歌舞伎がもっている不思議な魅力ですよね」と語り、「あまり決めつけないで、台本をいただいて読んでから、稽古の流れによっては、自分なりにまた工夫してつくっていきたい」と、意欲を見せました。

 

 新三郎について、「今だったら引きこもりの、ニートのような感じですが、絶世の美女と出会ってしまったがために、運命の歯車が狂ってしまう」と紹介した勘九郎。「お露という女性に出会って、その魅力に惹かれてしまったところを少しでも出せたら。映像版では、七之助が演じていましたので、彼の新三郎を参考にやりたいなと思います」と、冗談も交えながら語りました。

 

 また七之助は演じる三人の女性について、「三者三様、すべて役が違うので、演じ甲斐がある」と気を引き締めます。「お露という女性像は歌舞伎の女方に多くみられる、典型的な女方志向の女性なので、そこは共感できます。こういうふうに突拍子もなく好きになってしまうんだなという、女方というか、娘役の代表的な心持ちだと思います」と、役のもつ魅力について触れました。また、「早替りになると思いますので、そういった歌舞伎の手法的なところ、ビジュアル的なところも楽しんでいただければ」と、アピールも忘れません。

  

 「歌舞伎のかっこよさは壊したくない」と語る源は、「伝統的な歌舞伎のかっこよさとか、世話物の細かい感情表現とか、そういうものも含まれているような作品にしたいと思います」と強調。「歌舞伎ファンはもちろん、若い演劇ファンの方にもたくさん観ていただけるようなものを皆でつくっていけたら」と意気込み、新たな解釈を加えた『怪談牡丹燈籠』に、今から期待が高まります。

 「赤坂大歌舞伎」は5月5日(火・祝)から24日(日)までの公演。チケットは、2月16日(日)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹ACTオンラインチケット他で発売予定です。

勘九郎、七之助、獅童が語る「赤坂大歌舞伎」

 左から、芸妓(こいく)、芸妓(真希)、中村七之助、中村勘九郎、中村獅童、源孝志、芸妓(育子)、芸妓(真由)

 

2020/01/31