21日初日『映画 中村勘三郎』を勘九郎、七之助が語る

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 12月21日(土)、東京 東劇にて『映画 中村勘三郎』3週間限定上映が始まりました。先月の芝居小屋上映会では中村勘九郎が岐阜県の東座でご挨拶を行いましたが、東劇では中村七之助が初日舞台挨拶に立ちました。



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 東座の舞台で挨拶に立った勘九郎

『映画 中村勘三郎』は先月末より全国の芝居小屋で上映会が行われ、11月29日(金)には、十八世勘三郎が勘九郎時代に名誉館主となった岐阜県白川町にある東座に勘九郎が登場、名誉館主の任を受けてご挨拶を行いました。

 「勘九郎の名前で名誉館主になれたことがうれしい」と涙をこぼした勘九郎。「幕も、提灯も、どこを見渡しても(中村屋の定紋である)角切銀杏。東座というより中村座にいるみたい...。父は昔からこういう雰囲気の小屋、お客様と近い距離で芝居ができる、心が届きやすい小屋が大好きだったので、そこで映画を公開させていただくことを喜んでいると思います」と話し、お客様と一緒に初めて完成した映画を鑑賞しました。

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 東京での上映初日となった21日、歌舞伎座の舞台からご挨拶に駆けつけた七之助は、「父のすべてが詰まっている作品。見逃してほしくないです」ときっぱり。勘三郎は「寝るときと用を足すとき以外は撮っていいよ」と話していたそうで、「父のすごいところはカメラを嫌がらなかったこと。また、プロデュース能力のある人だったので、"ここ、面白いんじゃないの"と、(撮影シーンの)的を外さなかったこと。お客様が喜んでくださるなら、と思っていたことです」。

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 「父は型破りな人、というイメージが強いかもしれませんが...」と、切り出した七之助は、「江戸時代のように皆が歌舞伎を観に来てくれるなら、『鏡獅子』を踊って(『仮名手本忠臣蔵』の)判官様だけやっていたい。歌舞伎座で先輩方の芝居をそばで見られるなら、お前たち(勘九郎と七之助)をそちらに出したい」という勘三郎の生前の気持ちを明かし、「父は基礎があったからこそ、新しいことをやってもお客様が来てくださった。僕たちはそこを肝に銘じてやらないといけない」と、自分自身のこれからについても真剣な面持ちで語りました。

 映画では、新しい歌舞伎へ挑戦する姿とともに、古典歌舞伎を愛し、大切にしていた勘三郎の姿も映し出されています。そして、「気遣いの人で、常に"中村勘三郎"を演じていた」勘三郎の、ふと垣間見える素顔もあります。「(生前を思い出して)観ているのがつらくなるかもしれませんが、きっと笑顔で帰っていただけると思います」と、映画に太鼓判を押して七之助はご挨拶を終えました。

 『映画 中村勘三郎』東劇3週間限定上映は、来年1月10日(金)まで(12月31日[火]、1月1日[水・祝]は休館)。詳細はこちらをご覧ください。

2013/12/21