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吉弥が「歌舞伎夜話」で語った上方歌舞伎俳優の修業時代

 

 

 3月15日(火)、歌舞伎座ギャラリーで開かれた「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話(かぶきやわ)」第14回に、上村吉弥が登場しました。

 「絵を描くのが好きだったので、歌舞伎の絵師になりたかったんです」。上方歌舞伎俳優の出発点は、意外なところにありました。歌舞伎を見るのが大好きだった少年は、通い詰めた劇場で十三世仁左衛門の目に留まり、我當の付人に。初めのうちは「役者にならないか」と言われても、「大道具の絵師になりたい」と答えたそうですが、舞台に立つと心を決めて入門。2カ月後には初舞台を踏みました。

 

 「大旦那(十三世仁左衛門)は優しかったですよ」と、思い出はあふれます。芸に厳しい人だっただけに、稽古も徹底していました。「音(おん)使い、せりふの言い方、間(ま)。粒立てて速く言うところは速く、たっぷりのところはたっぷり。そのためにはやはり義太夫を勉強しないとだめ。義太夫のテープを擦り切れるほど聞きなさいと言われました」。膝を叩いてテンポを刻みながらの稽古をしてもらったそうです。

 

 松嶋屋一門のなかで研鑽を積み、舞台の出演も増えました。そして、勉強会をやろうと決意。選んだのは『新口村』の梅川でした。秀太郎に手ほどきを受け、「手拭いを落として拾うことから、イキの詰め方まで、1カ月にわたり毎日、丁寧に教えていただきました」。

 

 名題昇進披露の舞台には、素敵な思い出があります。『廓文章』の最後、大団円を迎えて吉田屋の座敷に千両箱が積み上がってめでたいめでたい、というところで「もう一つおめでたいことが」と、伊左衛門役の十七世勘三郎が、当時千次郎だった吉弥の名題昇進を披露。忘れられない門出となりました。

 

 歌舞伎座はこんなに大きいのかと驚いたというのは、玉三郎主演の『天守物語』。「あんなにたくさんしゃべったのは初めて」と、せりふの長さもさることながら、泉鏡花独特の世界観に挑み、その経験が今も生かされていると語りました。そのほか、さまざまな舞台の経験を重ねて来られて幸せ、これからもいろいろな役に挑戦していきたいと、舞台に向かう真摯なまなざしを見せます。

 

 会場からの好きな役はの問いに、『傾城反魂香』のおとく、『帯屋』のお絹を挙げた吉弥。「かいがいしく亭主につくす、一途で自分を犠牲にしてでもという、上方の女方に多いですよね。そういう役がいいですね」と、最後は上方歌舞伎の役への思いを語りました。

2016年03月17日

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