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新作シネマ歌舞伎『四谷怪談』を串田監督が語る

新作シネマ歌舞伎『四谷怪談』を串田監督が語る

 9月30日(土)より、東劇ほか全国57館で公開される「NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』」について、監督の串田和美が語りました。

 昨年6月、渋谷・コクーン歌舞伎第十五弾として上演された『四谷怪談』が、舞台の演出・美術にあたった串田和美の監督作品、NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』となって、30日(土)より公開されます。

 

新作シネマ歌舞伎『四谷怪談』を串田監督が語る

これまでにない映像、だから“NEWシネマ歌舞伎”

 舞台をご覧になれない方のためにも、舞台中継は否定しないけれど、「舞台って見えるものばかりではない、見る人が感じるままに心の中で編集し、時間とともに自分の作品にしていくもの。それを単なる記録映像としてしまっていいものか…」と、懸念を抱いていたという串田。記録ではなく、もちろん映画としてでもなく、「素材としてある舞台をどう撮るか、あとで見るための撮り方、編集をした」のが、串田監督の“NEWシネマ歌舞伎”です。

 

 一昨年に公開した『三人吉三』に続くNEWシネマ歌舞伎第2弾。「カメラを舞台に置いたり、稽古で特別に撮ったり、舞台上の群衆の中へ、カメラマンに黒衣の格好で入ってもらったりしました」。シアターコクーンの3階の廊下にモニターを並べ、「もっと寄れ、回り込め、違うそうじゃない、と指示を出していました」。10台のカメラで3公演分、それがすべてアングルを変えての本番撮影で、編集するうえでの映像の選択肢は膨大なものになりました。

 

南北の『四谷怪談』をあらためて読み解く

 四世鶴屋南北の『四谷怪談』をあらためて読み込んだ串田は、「武士が衰退してきた江戸末期の庶民の力を、舞台や映画ではカットしてしまうような部分に、南北は喜んでたくさん書いている。社会の上下が逆になり、長く平和が続いたのち、これからとんでもないことが起きるぞ、という理屈ではない予感、直感みたいなものがあった時代の本です。今とまさに同じ状況。現代人が持っている感覚を江戸の人も持っていたという作品で、そういう時代の群集劇、社会劇にひかれました」。

 

 俳優座の小沢栄太郎演出、仲代達也の伊右衛門の公演(1964年1月都市センターホール)が、『四谷怪談』を面白いと思った最初の記憶と語った串田。そして、十八世勘三郎(当時 勘九郎)とコクーン歌舞伎をつくろうといろいろな実験をし、第一弾として上演したのが『東海道四谷怪談』でした(1994年5月)。再演ののち、またがらりと演出を変えて上演、そしてシネマ歌舞伎に。串田の作品への思いの強さがうかがえます。

 

新作シネマ歌舞伎『四谷怪談』を串田監督が語る

舞台も、映像も、新しい表現を求めて

 『四谷怪談』のみどころとなる「浪宅の場」は実際の舞台でもかなり短くなっていましたが、「映像はさらに短い。だからこそ余計に印象に残る」と言います。泣いてすがる女房のお岩を置いて出ていく伊右衛門は、「どうしていいかわからない、なんだか気に入らない。心許せる妻に愚痴りたいのに、聞いてくれない。今でもありうることで、ぜんぜん不思議でも特殊な人でもない」。

 

 社会的、精神的、経済的に追い詰められている人がいい人でいることは難しい、「文学や表現は、“悪”と呼ぶ正当性、理由をなんとか読み取ろうとする」。今回、串田は演じる獅童とともに、色悪だけではない新しい伊右衛門をつくり上げようとしました。

 

 伊右衛門の脳内、お岩の苦悩を映像で表現しようとすると、「勝手にアップが多くなったのかもしれません」。舞台では表現が難しい同時進行の場面を、交互につないでいくカットバックで見せたり、シーンの順序を効果的に入れ替えたりと、映像ならではの手法が数多く取り入れられました。

 

観る人にゆだねるシネマ歌舞伎

 その一方で、小仏小平の幽霊や小汐田の移動、伊右衛門の落下などは、「できないことが力になることがある。見る人が想像することで、わかるわかる、という感情が沸く」と、映像の手法でよりリアルな表現が可能になる部分でも、あえて舞台の手法で見せることにこだわっています。

 

 歌舞伎の手法の一つである黒衣については常々、「いないことになっているけど確実にいる。芝居を助けているような支配しているような不思議な存在」と思っていた串田は、今回の舞台に、現代人が見慣れているサラリーマンの格好をした黒衣を登場させました。「映像にも残しました。時代や場面が重なりながら入れ替わる効果」は、見せたいように見せる映像の編集によって、より鮮明になっています。

 

 「映像のよさもあり弱さもある。やっぱり舞台がよかった、いや映像になってよかった、といろんなことを感じて楽しんでもらいたい」。舞台とも違う、記録映画でもない、NEWシネマ歌舞伎。観る人の数だけ感じ方、楽しみ方がある作品となりました。 

 

新作シネマ歌舞伎『四谷怪談』を串田監督が語る

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NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』

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公開

2017年9月30日(土)より

 

上映館

シネマ歌舞伎のサイトをご覧ください。

 

上映時間

1時間58分

 

チケット

一般料金:2,100円(税込) 学生・小人:1,500円(税込)

※ムビチケカード:1,800円(税込)は9月29日(金)まで、上映映画館、歌舞伎座、新橋演舞場、大阪松竹座、 前売券通販サイトメイジャーで販売中。

※《月イチ歌舞伎》特別鑑賞ムビチケカード3枚セット券もご利用になれます。

 

 

NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』作品詳細はこちら

「シネマ歌舞伎」公式サイトはこちら

2017年09月12日

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