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「二月大歌舞伎」高麗屋襲名披露の祝幕デザインを発表

「二月大歌舞伎」高麗屋襲名披露の祝幕デザインを発表

 歌舞伎座「二月大歌舞伎」祝幕の完成イメージを前にした十代目松本幸四郎 (C)YAYOI KUSAMA(C)松竹

 

 

 2月1日(木)、歌舞伎座百三十年「二月大歌舞伎」の二代目松本白鸚 十代目松本幸四郎 八代目市川染五郎の襲名披露にお目見得する祝幕のデザインが発表されました。

 「2月も引き続き、歌舞伎座で襲名披露興行をさせていただきます。それにあたり、日頃よりご贔屓いただいております中野道代様より、祝幕のご提供をいただくお話を頂戴しました。襲名する人の思いをかなえることが何よりのお祝いとの言葉を受け、私が(デザインを)お願いさせていただいたのが、草間彌生先生です」。以前から作品が大好きだったという幸四郎の思いが、2月の襲名披露の祝幕となります。

 

「二月大歌舞伎」高麗屋襲名披露の祝幕デザインを発表

 2017年6月、草間彌生氏の美術館で、今回の祝幕となった3点のうちの一つの原画を前に (C)YAYOI KUSAMA

世界の草間彌生が襲名披露の力になる 

 無限に続くような水玉や網目をモチーフとした作品で、世界に知られる前衛芸術家の草間氏と、幸四郎が雑誌の取材で話をしたのは、20年ほど前のことでした。初対面で幸四郎は、「永遠を信じますか」と、問いかけたと言います。「肉体が滅びる寿命は感じている、とおっしゃった時点で先生にはまりました。自分の思っている作品を、いかに限りある自分の肉体からつくっていくことができるか。それは戦いだと。そうして、つくられた作品が永遠になると」。草間氏の答えは、今回、20年近く経っても変わっていませんでした。

 

 「世界を、時代をつくり、つくり続けていく方の、まだ新しいことをやっていこうというパワーが、2月の舞台へのエネルギー、力になる」。幸四郎は草間氏とその作品への思いをあふれさせました。

 

お客様をお出迎えするにふさわしい素晴らしい作品 

 草間作品の魅力について、幸四郎は『勧進帳』など、能舞台を模した松羽目物を例に挙げました。「松羽目の道具は、いろいろな場面に置き換えられる構成舞台のような、洗練された舞台装置です。先生の作品には、それくらい洗練された美しさと、色彩の豊かさと深さが感じられ、歌舞伎の美しさに通じるものがあると感じます」。松羽目に匹敵するものを先生に描いていただけたらと、妄想したとも語りました。

 

「二月大歌舞伎」高麗屋襲名披露の祝幕デザインを発表

 歌舞伎座「二月大歌舞伎」祝い幕(イメージ)。テーマは「愛を持って人生を語ろう」 (C)YAYOI KUSAMA(C)松竹

 

 

 今回の祝幕に使用されたのは、2017年に制作された3点で、幸四郎がアトリエで見た時点では未発表でした。「今までになかった新しい作品だと感じました。高麗屋の襲名のおもてなしとして、お客様を最初にお出迎えする作品として、素晴らしいのではないかと」。草間氏が歌舞伎座の間口に合わせたら、たとえばこういう形と見せたものが、そのまま今回のデザインになりました。「地色が黒色の祝幕はこれまでにないと思います。完成された形だと思いました」。ほかの作品も見た結果、「もうこれ以上はない」と、最終的にこの3点に戻りました。

 

 選ばれたのは、2009年から草間氏が制作している「わが永遠の魂」シリーズのうちの3点で、祝幕は高さ7.1メートル、幅は30.3メートル。この大きさに草間作品がプリントされるのは世界初です。「実際に舞台に掛かったとき、どれだけ驚くか、今からわくわくしています」と、本当にうれしそうな笑顔を見せました。

 1月とはまた顔ぶれの異なる大一座での2月の襲名披露。「ありがたいことです。自分としても『一條大蔵譚』の大蔵卿と『熊谷陣屋』の熊谷、二つを一度に演ずるのは無謀だとわかっていますが、一生に一度のこれ以上はない興行なので、大変な思いをし、それに向かっていきたい」と、最後に幸四郎は意気込みを語りました。

 

 歌舞伎座「二月大歌舞伎」は、2月1日(木)から25日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で販売中です。 

2018/01/23