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鷹之資、玉太郎「SUGATA」最終公演に種之助も出演

鷹之資、玉太郎「SUGATA」最終公演に種之助も出演

 3月24日(土)から始まるKAAT神奈川芸術劇場「若手舞踊公演SUGATA『二人三番叟』/通し狂言『雙生隅田川(ふたごすみだがわ)』」で、出演の中村鷹之資、中村玉太郎と、初参加の中村種之助が、公演に向けての思いを語りました。

 歌舞伎出演機会の少なくなる世代に、研鑽の場をと始まった舞踊公演「SUGATA」。鷹之資が4月から大学生になるのを節目に今回、最終公演を迎えます。1回目から作・演出・振付・出演の勘十郎は、卒業演目としてまず、「三番叟を踊れたら一人前の証拠。自分の課題を見つけることにもなり、しっかりした踊りを身につけてご覧いただこうと、長唄にした『二人三番叟』を」選びました。もう一つは「義太夫が入るものをきちんとやりたい」と『雙生隅田川』が上演されます。

 

義太夫狂言『雙生隅田川』には素踊りの早替りも

 鷹之資は2役。物語の発端となる吉田少将行房と奴軍助を早替りで見せます。「せりふも踊りも多い。3年間培ってきたもの、経験を出し切り、悔いのないようにできたら」。素踊りでの早替りは衣裳が同じなので、「歩き方、せりふの言い方、声の出し方、すべてを瞬時に切り替えられるか。冷静に早替りができるか」、難易度が高いと演出の勘十郎。

 

 玉太郎は家来の小布施主税。「侍なので荒々しすぎず、立廻りにも品があるといいと思っています。義太夫のところは演技力が問われます。義太夫らしくしゃべるのも難しい。先輩方の素晴らしい演技をたくさん見てきたので、同じことをするプレッシャーはありますが、見てきたことをとり入れて研究していけたらと思います」。

 

 勉強会で『傾城反魂香』のおとくもやっている種之助には、「先代門之助さん、九世宗十郎さんもなさった大役の唐糸を」と勘十郎。鷹之資や玉太郎と同じくらいの頃、勘十郎らが手がけた「趣向の華」公演に出演し、「当時はどうしていいかわからないことも、初めての長い立廻りや切腹の機会もいただいて、今考えると本当にありがたい。おこがましいですが恩返しの気持ちもあり、でも、女方はまだまだ不足も多いので、あらためて勉強する気持ちで臨みます」と語りました。

 

場をつくる、ぱっと持っていく演技を

 「そして鯉、ですよね」と種之助。最後の鯉つかみは、まだ想像もつかないけれど、「演出の意になるべく近づけるように」と、前向きな姿勢を見せました。「場をぱっと持っていくところを今回は三人に振り分けています。いかに最後を持っていくか、そこは種之助さんがやらないといけない」。演出の意図に沿う幕切れに期待がふくらみます。「思い切り立廻りをしたい」と言う奴の鷹之資には、「水をどう表現するか、いかにその場を制していくか」の課題が、演出から与えられました。

 

 昭和51(1976)年10月に新橋演舞場で戸部銀作の作で、勘十郎の祖父、二世勘祖の振付で上演した際、「舞踊の要素を強くしたと書かれていたので、舞踊劇になると確信しました。派手なスペクタクルの要素が強いものなので、面白い要素もできるだけ残したい」。鷹之資は「今、必死に本や映像を集め、こうしたいと言える引き出しが多くなるように頑張っています。本番までにそれを出しつくし、今できる最高のものにしたい」と意気込みました。

 

3年間の積み重ねで成長したところは

 鷹之資は「悔しい部分も多い」とこれまでの公演を思い返し、「新作では初めての経験ばかりで、つくる難しさ、お客様に楽しんでもらう、笑ってもらうことの難しさを勉強しました」。玉太郎は、「子役では先輩方に合わせたり教わったりしていましたが、この公演で、こうしたほうがいいのではと、自分で考えるようになりました」。それを聞いて勘十郎は、「言われたとおりにやるのが最初の教えで、とても大事なこと。そして、いい年齢で、自分で考えなさいと放置します」と明かしました。

 

 「本当にあれでよかったのかと、映像や音声を録ったりするかもしれないし、受けないことがわかり、どういう気持ちで次の舞台に上がるかを考えるかもしれない。よかった、悪かったの分別をつけなければならないと気づいたことが成長。このあと、どうやったらお客様が来てくださるか、喜んでくださるかを考えるのは自発的なことです」。子役から一人の歌舞伎俳優への成長に期待をかけます。

 

 種之助は、先輩としてかける言葉はと問われ、「一生かけてもできるとは言い切れない職業ですが、知っておくことが力になります。経験しているということは、その役を誰かがやっていて別の役で出ているときでも、すごく大きいことだと思います」と、自分を振り返りながら答えていました。

 

最後の「SUGATA」がお客様の目に残るように

 「経験してきたことすべてをぶつけ、余すことなく演じたい」(鷹之資)、「ここでしてきたことを本興行で活かしたい」(玉太郎)。二人の力強い言葉は、これからの舞台を観る楽しみにつながります。「僕らの今後の舞台をご覧になって、若いときのKAATの舞台を観たと思っていただけるようになったら」と種之助も続けました。

 

 決して若手発表会にしたくないと言う勘十郎は、「ふらっとKAATに立ち寄った人、出演者たちのことを知らない人が、観て面白い作品につくり上げます。今月はどこよりもKAATが面白かったと言われることを目指し、本気で取り組みたい」。そして、その面白い舞台をやっていたのが鷹之資、玉太郎、種之助だった、そう記憶される公演に――。「SUGATA」最終公演へぜひ足をお運びください。

 

鷹之資、玉太郎「SUGATA」最終公演に種之助も出演

 「若手舞踊公演 SUGATA」 左より、藤間勘十郎(作・演出・振付・出演)、中村玉太郎、中村鷹之資、中村種之助

若手舞踊公演 SUGATA「二人三番叟」/ 通し狂言「雙生隅田川」(KAAT公式ページ)

2018年03月09日

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