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菊五郎、團十郎 新橋演舞場「四月大歌舞伎」への思いを語りました

菊五郎、團十郎 新橋演舞場「四月大歌舞伎」への思いを語りました

 4月1日初日を迎える、新橋演舞場「四月大歌舞伎」。東京での尾上菊五郎と市川團十郎の共演は、昨年の歌舞伎座さよなら公演以来一年ぶり。公演に先立ち、菊五郎、團十郎が舞台への意気込みを語りました。

尾上菊五郎
 團十郎さんとは、去年の5月大阪松竹座の團菊祭以来一年ぶりの共演になります。お互いに芸風が違っていて共演はいつも楽しみです。東日本大震災という大変な災害があった後ですが、平常心でいつもと変わらずに、そしてお客様からパワーをいただいて、こちらもまたパワーをお客様に与えたい、そういう気持ちで舞台を勤めたいと思っています。

 昼の部『一條大蔵譚』は、昨年巡業でも勤めましたが、今回は吉岡鬼次郎が團十郎さん。顔合わせが違うと舞台も全然違ってきます。今回で5度目になりますが、やればやるほど面白いお役です。作り阿呆ではない、本当の一條大蔵長成という人を出すにはどうしたらいいかと考えています。このお公家さんは、上品なところもあれば、世を斜めに見るような、そしてなかなか強かな面もあります。ですからやっていて面白いのだと思います。若い頃には派手にバアーッとやっていましたが、それは違ったんじゃないかなと今は思っています。誰だって喜んで阿呆になんかなりたくないですもの。

 夜の部『絵本太閤記』の真柴久吉は初役です。光秀に対抗する人として、なくてはならないお役です。お芝居の幕閉め、最後をスカッと終わらせる・・・それがこのお役のしどころと言えるのではないでしょうか。


市川團十郎
 夜の部『絵本太閤記 尼ヶ崎閑居の場』では武智光秀を勤めます。典型的な歌舞伎芝居の代表格、配役などバランスが非常に良い演目です。光秀は、舞台の真ん中でじっとしながら、万感をはらはらとひとつに集約するというかなり辛抱のいるお役です。これが結構難しくて、長くて持たすのが大変です。思いがつながるというのが若いうちはできないものですが、だんだん歳になると持てるようになるんですね。多分、体内時計のスピードが変わるからだと思います(笑)

 昼の部『一條大蔵譚』では、久しぶりに鬼次郎を勤めます。常盤御前が弓矢で遊んでいるのは恨みを調伏するため、大蔵卿も源氏の行く末を思って作り阿呆でいる、物語が進みそうした皆さんの配慮を知って感嘆するという、一つの証人という立場でもあるとても大変なお役です。音羽屋(菊五郎)さんの方は良い所だけ出てくれば良いので・・・羨ましいですね(笑)。

 震災の後のこの時期、公演を通じて萎む心を広げたい、成田屋だったら不動心で堂々と立ち向かいたいという思いでいます。そして、傷ついたり避難所からお出になれない方々に思いを感じながら舞台を勤めさせていただきたいと思っています。節電の問題もありますから、逆に昔の歌舞伎に戻ってグッと照明を落とした芝居というのもできるのではないでしょうか。私たち役者仲間も今回のこの大震災にどう向うべきか皆で考えていきたいと思っています。

2011/03/30