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「六本木歌舞伎2022」『ハナゾチル』東京公演が開幕

 2月18日(金)に、東京 EXシアター六本木で「六本木歌舞伎2022」『ハナゾチル』が開幕、前日には会見が開かれ、舞台稽古が公開されました。

 3年ぶりの「六本木歌舞伎」では、河竹黙阿弥の名作『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』を題材に、今井豊茂の脚本、藤間勘十郎の演出、三池崇史の監修で、新たな解釈で作品が展開されます。

 

 幕が開くと舞台は現代の六本木。ベーシストBOHの演奏に和太鼓が加わり、観る者を一気に物語のなかに引き込むと、現れたのは“弁天小僧菊之助”と名乗る窃盗犯の戸塚(戸塚祥太)です。博物館から美術品を盗んだ戸塚は、華麗なアクロバットも交え、警官たちから逃げるうちに、不思議な声に誘われ、博物館の屋上から飛び降りてしまいます。

 

 場面が一転し、江戸時代の鎌倉になると、タイムリープをした戸塚は呉服屋の浜松屋の息子・宗之助と間違われ、店に連れて行かれてしまいます。その浜松屋で盗みを企てていたのが、巷を騒がせている白浪五人男。日本駄右衛門(男女蔵)が待つ浜松屋に、美しい武家娘に扮した弁天小僧菊之助(海老蔵)とその仲間、南郷力丸(右團次)が、騙りにやってきます。弁天小僧が素性をあかし、「知らざぁ言って聞かせやしょう」の名ぜりふでみせる名場面は眼目です。

 

 続いて、近年上演がめずらしい「浜松屋蔵前」では、弁天小僧と宗之助が、実は取り替え子であったことが判明します。物語の鍵となるこの場で、戸塚祥太が歌舞伎の演技に挑戦する姿に、客席から大きな拍手が送られます。

 

 そして、赤星十三郎(児太郎)、忠信利平(九團次)も加わり、稲瀬川に登場した五人男たちが、傘を持って花道に勢揃いする場面は、本作品ならではの歌舞伎の様式美を感じさせます。続いて極楽寺で、仲間の裏切りにあった彼らを追う大勢の捕手との立廻りがはじまります。

 

 再びBOHのベース、三味線、太鼓が響くなか、白浪五人男に出会い、人のために生き、宿命(さだめ)のなかで儚く散ることを学んだ戸塚が、軽やかに捕手たちを捌きます。代わるように登場した弁天小僧の、迫力ある見得と、息つく間もない立廻りは、圧巻のみどころです。弁天小僧と、現代に戻った戸塚が重なり、弁天小僧が切腹をするラストシーンは、桜吹雪のなかで深い余韻を残しました。

『六本木歌舞伎2022」『ハナゾチル』東京公演が開幕

 

 舞台稽古の前に行われた会見では、「古典こそが、実は新しいのかもしれないと思っていただけるよう、勤めてまいります。感染対策を徹底して、劇場でお待ちしています」と、海老蔵が意気込みを語ると、戸塚も「これまでもジャニーズ事務所の俳優は、歌舞伎に参加させていただいています。僕も次につなげるよう、しっかり自分の勤めを果たしたいと思います」と、決意を述べました。

 「六本木歌舞伎2022」『ハナゾチル』は2月18日(金)~3月6日(日)東京 EXシアター六本木3月11日(金)~13日(日) 福岡 福岡サンパレスホテル&ホール、そして3月18日(金)~21日(月・祝) 大阪 フェスティバルホールでの公演です。チケットの詳細は、それぞれの公演情報をご確認ください。

2022/02/24