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白鸚が語る歌舞伎座『松浦の太鼓』、特別ポスターも公開

白鸚が語る歌舞伎座『松浦の太鼓』、特別ポスターも公開

 

 2022年9月4日(土)から始まる歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」第二部『松浦の太鼓』に出演の松本白鸚が、公演に向けての思いを語りました。

 「秀山祭九月大歌舞伎」では、白鸚が、弟・二世中村吉右衛門の一周忌追善として、その当り役であった『松浦の太鼓』の松浦鎮信を初めて勤めます。『松浦の太鼓』では、これまでに3回、大高源吾を勤めたことがある白鸚。そのうちの1回は、昭和46(1971)年に二世吉右衛門が初めて松浦を勤めたときの相手でした。白鸚は、「松浦は初役。やるからには、弟のことを思って、その一心で演じたいです」と、しみじみと語り出しました。

 

傘寿で挑む初役

 初めて勤める松浦鎮信について、白鸚は、「まずは品格がなくてはいけない。(一方で)お縫との関係や、其角とのやり取りなどにユーモラスさが出ていますが、そのどちらもがなくてはいけないですし、どちらが勝ってもいけない」と、考えを述べます。「悲しいときは泣き、おかしいときは笑い、怒りもする殿様。純粋な人だったのではないでしょうか」。

 

 このたび、傘寿にして初役を勤めることへ、「怖さはあります。よほど心して臨まなくてはいけない」と、心中を明かす白鸚。「でも、やるからにはやりおおせなくては。お客様には、何度も演じてきたようにお見せしなくてはいけません。“びびり”ますが、それが苦痛を通り越して喜びになっている。初めての役を演じるワクワク感や、うれしさもあります。もう、得たりや応ですよ」と、怯まぬ心意気を見せます。

 

白鸚が語る歌舞伎座『松浦の太鼓』、特別ポスターも公開

 

弟、二世吉右衛門について

 二世吉右衛門との思い出を振り返り、「いろいろなことを思い出しますが、子どもの頃のことが多いですね。『野崎村』の送りの場面で、口三味線をしながら、先棒と後棒になって駕籠屋さんになったり、『盛綱陣屋』の首実験を交代でやったり」と、懐かしげな表情を見せます。「別れというのは寂しいものです」と、そっと口にしたひと言に、弟への思いがにじみます。

 

 今回の劇中では、特別に口上も披露します。どのようなことを語るのかと問われ、「松浦を演じることが、弟の追善だと思っています。万感胸に迫るというと、普通になってしまいますが、(弟が)ここまでやってきたのだということをお伝えしたい」と、穏やかな口調ながらも、気持ちを込めて締めくくりました。

白鸚が語る、歌舞伎座『松浦の太鼓』

 

 このたび、歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」第二部『松浦の太鼓』の特別ポスターが公開されました。ポスターでは、脇息に手を置き、ついさっきまで書物を読みふけっていた松浦侯が、ふと何かに気づいたかのような、はたまた何かに思いを馳せるかのような表情を浮かべています。その視線の先に映るものは何なのか。さまざまな感情を胸にいだく松浦侯が、次にどう動き何を語り出すかと想像がふくらみ、目が離せなくなる一枚です。この特別ポスターは、歌舞伎座ほかで掲示されますので、ご観劇の際には、ぜひご注目ください。

 歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」は、9月4日(日)から27日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2022/09/03