2023年9月2日（土）から始まる歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」に出演の松本幸四郎が、公演に向けての思いを語りました。

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叔父（二世吉右衛門）を知ってもらう「追善興行」

　幸四郎の曽祖父にあたる初世中村吉右衛門の功績を顕彰する「秀山祭」。今年は、一昨年逝去した二世吉右衛門の三回忌追善として公演が行われます。幸四郎は、「秀山祭は叔父が本当に大事にされてきた公演でしたので、今年も開催されることをとてもうれしく思っております。大事な人を思い出すのが追善だと考えておりますが、今回は、自分を通じて叔父を知っていただくという大きな役目があると思っています」と、真剣な眼差しで語ります。

　「どの役も同じですが、繰り返し上演されてきた型のある演目は、まず手本があって、それに憧れるところから始まると思っています。例えば叔父が演じてきた『土蜘』も、今実際に観ていただくことはできませんが、誰か違う身体を使ってお観せすることができるのではないか。今回、自分の芝居を良かったと喜んでいただければ、叔父がすごかったということをお伝えできるのではないか」と、その重責の心の内を明かします。

二世吉右衛門の当り役に挑む

　今年の秀山祭では、二世吉右衛門の当り役とされる『土蜘』の叡山の僧智籌実は土蜘の精と、『一本刀土俵入』の駒形茂兵衛に、いずれも初役で挑む幸四郎。『土蜘』については、「叔父の『土蜘』にすごく憧れていました。怪しさというか、土蜘の精の匂いや色が痛烈に感じられて、怖い分魅力的に感じました。直接習うことはできなかったのですが、今回は叔父の台本をお借りして、お守り代わりに使わせてもらっています」と、気合は十分。

　『一本刀土俵入』の駒形茂兵衛については「『土蜘』とは真逆ですよね。叔父の茂兵衛は、純粋で、純朴。普通の人しか出てこないお芝居だからこそ、心に響く言葉や、行動があると思うのですが、それがすごく強く感じられる茂兵衛だったと思います。自分も茂兵衛になりきって、どれだけ相手の言葉を聞いて、素直に答えられるかを意識して演じたい」と、語ります。

　加えて、今回は初めて歌舞伎をご覧になる方にも楽しめる演目だという幸四郎。「昼の部の『土蜘』は、白塗りや隈取、見得、女方や義太夫など、この演目で歌舞伎という言葉からイメージされるものを実感してもらえると思います。また、夜の部の『一本刀土俵入』では、ドラマを追う楽しさを知ってもらえたらうれしいです」と、笑顔で話し締めくくりました。 

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　歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」は9月2日（土）から25日（月）までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。