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御園座「二月御園座大歌舞伎」初日の賑わい

 2024年2月1日(木)、御園座で「二月御園座大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 十三代目市川團十郎白猿襲名披露、八代目市川新之助初舞台となる「二月御園座大歌舞伎」。昼の部は、『三人吉三巴白浪』の人気の場面「大川端庚申塚の場」から。同じ名をもつ、お嬢吉三(廣松/莟玉)、お坊吉三(莟玉/廣松)、和尚吉三(男女蔵)の三人が絵面の見得できまると、客席からも熱い拍手が送られました。続く『鯉つかみ』では幻想的な蛍狩りの場面から始まり、志賀之助(右團次)が、鯉の精との早替りや大きな鯉を相手にした大立廻りで観客の心を掴みました。続いては、八代目市川新之助初舞台狂言『外郎売』です。工藤祐経(梅玉)が大磯の虎(魁春)らを招き大磯の廓で酒宴をしています。そこへ外郎売に身をやつした新之助勤める曽我五郎が花道から登場すると、凛々しい佇まいに観客の視線は釘付けに。新之助は「劇中口上」も立派に勤め、外郎売として最大の聞きどころでもある早口弁舌や、祐経に詰め寄る場面の奮闘ぶりに、場内の熱気がさらに高まります。

 

 そして昼の部の切は、襲名披露狂言『吉野山』。桜満開の吉野山を舞台に、静御前(雀右衛門)と同道する佐藤忠信実は源九郎狐(團十郎)は息の合った踊りを見せます。團十郎は狐と人間を見事に踊り分け、また清元と義太夫に合わせた勇壮な戦物語を見せて観客を引き込みます。最後は華やかで迫力あふれる花道の引っ込みに、客席からは割れんばかりの拍手が送られました。

 夜の部の幕開きは、『相生獅子』です。廣松と莟玉が可憐な踊りを見せた後、迫力満点の勇壮な獅子の狂いに、場内もすっかり引き込まれました。続いて、実際にあった事件をもとに描かれた『慶安太平記』。男女蔵勤める丸橋忠弥の酔っ払いぶりは客席にまで酒の匂いが漂うかのよう。策略が露見した忠弥が大勢の捕手を相手に戸板や縄などを用いて見せる大立廻りがみどころです。『口上』では、團十郎と新之助が挨拶を述べ、共演者が襲名を寿ぎました。最後は團十郎がご来場のお客様の無病息災を願って成田屋の家の芸である「にらみ」を披露。熱い拍手に包まれました。

 

 そして夜の部は、襲名披露狂言として、團十郎が武蔵坊弁慶、菊之助が富樫左衛門を勤める、歌舞伎十八番屈指の人気作『勧進帳』で打ち出しとなります。弁慶による勧進帳の読み上げ、富樫が弁慶を追及する「山伏問答」など息もつかせぬ展開が繰り広げられ、観客を魅了します。幕切れで盛り上がりは最高潮に達し、大向うがかかるなか、弁慶が飛び六方で豪快に引っ込むと、御園座に万雷の拍手が鳴り響きました。

 御園座「二月御園座大歌舞伎」は17日(土)までの公演。チケットはチケットWeb松竹御園座ほかで販売中です。

2024/02/07