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雀右衛門が語る、歌舞伎座『傾城道成寺』

雀右衛門が語る、歌舞伎座『傾城道成寺』

 

 2024年3月3日(日)から始まる歌舞伎座「三月大歌舞伎」昼の部『傾城道成寺』に出演の中村雀右衛門が、公演に向けての思いを語りました。

雀右衛門が語る、歌舞伎座『傾城道成寺』

 

父・四世雀右衛門が大事にしていた「道成寺物」

 四世中村雀右衛門十三回忌追善狂言として、昼の部で上演される『傾城道成寺』。今回、傾城清川実は清姫の霊を演じる雀右衛門は、平成30(2018)年に四世中村雀右衛門七回忌追善狂言で『男女道成寺』を演じ、平成28(2016)年の自身の襲名の際は『京鹿子娘道成寺』を演じています。その背景には、父・四世雀右衛門の「道成寺物」への強い思いがあると言います。「父は、『傾城道成寺』のほかにも、『豊後道成寺』『男女道成寺』『二人道成寺』『現在道成寺』『切支丹道成寺』など、いわゆる“道成寺物”を生前、精力的に勤めていました」と、父を偲んで語ります。

 

 続けて、「父からはいろいろな演目を教わっていますが、一番最初に『男女道成寺』を三越劇場で勤めさせていただいて以来、あらゆる公演で“道成寺物”を教えてくれました。父にとってはもちろん、私にとっても大切な演目です」と、大事な節目で「道成寺物」を演じる理由を明かします。

 

傾城の姿で表現する道成寺の物語 

 「『傾城道成寺』も“道成寺物”なので、基本は安珍と清姫の物語ですが、維盛物語の要素を取り入れて、時代背景を変え、清姫の霊が傾城として登場します。父は、安珍への思いを、傾城の姿を通じてより強く表現していたと思います。恨みを語りながらも、愛おしかった気持ちも大切に勤めたい」と、意気込みます。

 

 また、今回の十三回忌の追善狂言について「(尾上)菊五郎のお兄さん、(尾上)松緑さん、(坂東)亀三郎さん、(尾上)眞秀さんにご出演いただきます。本当に大勢の方に舞台に出ていただき、そしてもちろん兄(大谷友右衛門)と、甥の(大谷)廣太郎、(大谷)廣松も出演いたしますので、父も喜んでいると思いますし、感謝の言葉しかございません」と、熱い思いを口にします。

 

 「傾城であったり、『伊勢音頭恋寝刃』のお紺のようなお役であったり、父はとても色っぽかった。きっちりしているのですが、そのなかに、それぞれのお役の、女性としての色っぽさが、常に身についているところがすごかったと思います。父の足元にも及びませんが、これまで父の舞台を大事に観てくださったお客様に、父の面影を思い出していただけるような役者になっていきたいと思います」と、笑顔で語って締めくくりました。

 歌舞伎座「三月大歌舞伎」は3月3日(日)から26日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2024/02/16