十二月大歌舞伎


平成29年12月2日(土)~26日(火)

第一部

一、実盛物語(さねもりものがたり)

智勇を兼ね備えた武将の苦渋

 平家全盛の時代を舞台に、木曽義賢の子の義仲誕生の秘話を綴った『実盛物語』。義賢の御台所葵御前の懐妊が発覚したことで詮議にやってきた平家方の斎藤別当実盛と瀬尾十郎。ひそかに源氏方に心を寄せる実盛は、瀬尾を巧みに言いくるめ、葵御前の危難を救います。瀬尾が去った後、実盛は源氏の白旗を手に掴んだ小万の腕を斬り落とした様子を語り始めます…。
 実盛が小万の腕を斬った様子を、扇を用いて「物語る」場面が最大のみどころです。時代物の名作にご期待ください。

二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

僧の姿に化けた土蜘の精の狙いとは

 『土蜘』は、前半の美しい詞章と上品な振り、後半の土蜘の精の豪快な立廻りがみどころの、松羽目物の大作です。源頼光の館、病に伏せる頼光のもとを、家臣の平井保昌が見舞い、あとから薬を届けに訪れた侍女胡蝶は紅葉が咲き誇る名所の様子を語ります。胡蝶が去り、頼光がにわかに胸苦しさを感じるところ、智籌と名のる僧が現れます。智籌の不審な様子に、頼光が刀で斬りかかると…。
 智籌が漂わす不気味さや、千筋の糸が繰り出される立廻りなど、みどころ満載の舞台をお楽しみいただきます。

第二部

一、らくだ

酒で豹変、立場が逆転する笑いあふれる上方世話物

 大坂が舞台の『らくだ』は、上方落語の名作を題材にしています。とある裏長屋。「らくだ」と呼ばれた宇之助が、ふぐの毒に当たって急死します。通夜をしようと、兄貴分のやたけたの熊五郎は、紙屑屋の久六を脅して、家主のところへ無心に行かせます。要求を断られた久六に、熊五郎は一計をめぐらし…。
 気の弱い久六と遊び人の熊五郎の立場が変化していくユニークな世話狂言をご覧いただきます。

二、蘭平物狂(らんぺいものぐるい)

狂乱の影に隠された真実

 『蘭平物狂』は、海女と在原行平の恋物語に皇位継承を絡めた作品です。主人公の奴蘭平は、刃物を見ると狂乱する奇病の持ち主。罪人を追う息子の繁蔵が気がかりな蘭平ですが、この狂乱は計略。実は蘭平は、行平によって滅ぼされた伴実澄の子伴義雄で、仇討ちの機会を探っていたのです。ところが、行平は蘭平の素性をすでに見抜いており…。
 二世尾上松緑が復活上演し人気を博した、迫力満点の大立廻り、所作ダテの美しさがみどころの義太夫狂言をお楽しみいただきます。

第三部

一、瞼の母(まぶたのはは)

すれ違う親子の情を描く股旅物の名作

 母と息子の互いを思う心情を巧みに描き出す『瞼の母』は、長谷川伸による新歌舞伎です。作者が幼い頃に経験した母との別れを題材にした作品で、一途に母を思い、幼い頃に別れた母をずっと探してきた忠太郎と、母おはまが対面する場面がみどころです。しかし、おはまは母と名のらず、親子は再び別れることとなり…。
 一心に母の面影を求める息子と、将来のことを考え冷たい態度をとる母のせりふの応酬、名ぜりふが胸を打つ新歌舞伎の傑作にご期待ください。

二、楊貴妃(ようきひ)

悲劇を辿った楊貴妃を美しく描く舞踊

 長編詩「長恨歌」と能の「楊貴妃」を題材とした舞踊『楊貴妃』は、人気作家・夢枕獏が坂東玉三郎のために書き下ろした作品です。亡くなった楊貴妃への思いが忘れられない玄宗に、楊貴妃の魂を探すよう命じられた方士は、蓬莱山の宮殿で楊貴妃を呼び出します。すると、楊貴妃の魂が在りし日の美しい姿で現れ…。
 二枚扇を巧みに扱う華麗な舞がみどころの一つです。夢幻の境地へ誘う燦爛たる舞踊をご堪能ください。

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