みどころ


歌舞伎座

歌舞伎座百二十年

四月大歌舞伎

平成20年4月2日(水)~26日(土)


昼の部

一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)

  十種香

 武田信玄の嫡男の武田勝頼は、足利将軍暗殺の真犯人を捜し出すことが出来ず切腹。その許婚であった長尾謙信の息女の八重垣姫(時蔵)が、勝頼の菩提を弔っているところへ、勝頼と瓜二つの男が現れるので、八重垣姫は腰元の濡衣(秀太郎)に恋の仲立ちを頼みます。実は切腹した勝頼は偽物で、本物の勝頼(橋之助)は簑作と名乗って長尾家に仕官し、武田家の重宝である諏訪法性の兜を奪い返そうとしていたのです。
 勝頼への思いを語る八重垣姫を見て、勝頼も気を許しますが、そこへ長尾謙信(我當)が現れ、簑作に使者の役を命じます。すでに簑作を勝頼と見抜いていた謙信は、白須賀六郎(錦之助)や原小文治(團蔵)を呼び出し、勝頼殺害の命を下すのでした。
 高位の姫君の一途な恋を描いた義太夫狂言の名作を、華やかな顔ぶれでお楽しみ頂きます。

二、熊野(ゆや)

 平宗盛(仁左衛門)の愛妾である熊野(玉三郎)のもとへ、東国に住む母親の病が重いと記された手紙が届けられます。熊野は帰国の旨を宗盛に願い出ますが、熊野を寵愛する宗盛はこれを許しません。
 そして宗盛は、熊野を始め、従者(錦之助)や朝顔(七之助)を連れて花見に出かけますが、母親との対面が許されず悲しむ熊野の舞を見るうちに、さしもの宗盛も哀れに思い、ついに帰国を許すのでした。
 能をもとにした典雅な長唄舞踊をご覧下さい。

三、刺青奇偶(いれずみちょうはん)

 生来の博奕好きで江戸を追われた半太郎(勘三郎)は、下総行徳の船場で荒木田の熊介(亀蔵)と争っていた傍で、身投げをした酌婦のお仲(玉三郎)を救います。不幸続きの人生を送ってきたお仲でしたが、半太郎の言葉を聞いて死ぬのをやめ、初めて会った男らしい男、半太郎の姿を見失うまいと後を追います。半太郎の母親と従弟の太郎吉(高麗蔵)が半太郎を尋ねて来ますが、熊介を斬った半太郎はお仲と逃げてしまうのでした。
 こうして半太郎とお仲は夫婦となり、品川の宿はずれでみすぼらしい所帯を持ちますが、半太郎は博奕が止められません。やがて死病に罹ったお仲は、半太郎の行く末を心配し、博奕を止めて欲しいと願って半太郎の二の腕に骰子の刺青を彫ります。こうして博奕を断った半太郎でしたが、この世の名残にお仲に良い思いをさせたいと博奕に出かけ、賭場に難癖をつけたことから叩き出されてしまいます。すると鮫の政五郎(仁左衛門)が、半太郎に意外な話を持ち掛け...。
 恋女房がありながら、博奕を止めることができない悲しい男の業を描いた長谷川伸の名作を豪華配役で上演する注目の舞台です。



夜の部


一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)

 江戸の街が薩長を中心とした官軍に包囲される中、徳川慶喜(三津五郎)は上野寛永寺に謹慎し、恭順の姿勢を示しています。
ところが幕臣の主戦論者の言葉を聞いて慶喜は恭順を翻意してしまうので、高橋伊勢守(彌十郎)や山岡鉄太郎(橋之助)は、慶喜のもとへ向かいます。しかし慶喜は薩長軍にこれまでの無念を晴らすのだと言い、諫言を受け入れません。
 恭順を翻意すれば江戸は火の海となり、罪もない庶民たちが被害を蒙ると言う山岡の必死の言葉を聞き、ようやく慶喜は自らの誤った決断に思い至ります。こうして慶喜は江戸を官軍に明け渡すことを決意し、その名残を惜しみながら、水戸へと旅立っていくのでした。
 真山青果が壮年期に書き下ろした名作を、清新な配役で上演します。

二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

 兄の源頼朝と不和になった源義経(玉三郎)は、武蔵坊弁慶(仁左衛門)の進言を受け入れ、自らは強力に、弁慶や他の家臣(團蔵・友右衛門・権十郎・高麗蔵)は山伏に姿を変え、奥州を目指します。
 しかし安宅の関を守る富樫左衛門(勘三郎)は、義経主従が山伏に変装していることを知っているので、弁慶たちを容易に通そうとしません。
 やがて富樫は、東大寺再興の勧進僧と言う弁慶に、勧進帳を読むように命じます。そこで弁慶は、ある巻物を勧進帳と偽って読み上げ、さらに富樫の執拗な尋問に答えていきます。
 こうして富樫は、一度は弁慶たちが関を通ることを許しますが...。豪華配役で上演する人気演目を存分にご堪能下さい。

三、浮かれ心中(うかれしんじゅう)

  中村勘三郎ちゅう乗り相勤め申し候

大店伊勢屋の若旦那の栄次郎(勘三郎)は、戯作者になろうと決意し、世間の耳目を集めようと悪戦苦闘しています。
 今日も話題作りのために、番頭の吾平(亀蔵)の心配をよそに、自ら親に申し出て勘当を受け、顔を見たこともない長屋の娘おすず(時蔵)と婚礼を挙げることとなりましたが、仲人の太助(三津五郎)が来ないので、大変な騒ぎとなります。やがて無事におすずと夫婦になった栄次郎でしたが、自らの書き下ろした黄表紙が評判にならず、おすずや栄次郎の妹お琴(梅枝)がなだめてもしょげ返るものの、尚も吉原の花魁の帚木(七之助)を身請けしたり、幕府の法に触れた者に課される手鎖の刑を受けようと役人の佐野準之助(彌十郎)に頼み込んだりする始末。
 そんな栄次郎の様子を見て、父の太右衛門(彦三郎)は呆れるばかりですが、栄次郎は帚木と心中をして、さらなる話題作りを狙います。しかしそこへ帚木の間夫の清六(橋之助)が現れ......。
 井上ひさしの直木賞受賞作「手鎖心中」を歌舞伎化した作品で、今年の干支にも因みある〝ちゅう乗り〟も見どころの、笑いに溢れる話題の舞台です。

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