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日本記者クラブで「歌舞伎座新開場一周年記念」記者会見が行われました
5月23日(金)、日本記者クラブにおいて、歌舞伎座新開場一周年にあたっての記者会見が行われました。
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1年で132万を超えるお客様がご来場
会見の冒頭、松竹株式会社社長迫本淳一より、昨春の歌舞伎座新開場から無事一周年を迎えられたことに対し、お客様と出演の歌舞伎俳優ほか関係者への感謝を述べるとともに、1年間の有料入場者数が132万名を超えたことなど、具体的な一年の実績が紹介されました。
「お国歌舞伎という大衆文化からスタートした歌舞伎は、多くの先輩方の努力で今日の芸術性まで高められました。歌舞伎座の新開場にあたっては、芸術性を継承し、皆様方にご満足いただける優れた内容の興行をご提供する一方で、一人でも多くのお客様に親しみやすく、見やすく、わかりやすい歌舞伎を提供できるように努力してまいりました」と、第五期歌舞伎座の当初の目標をあらためて確認、それらが第68回文化庁芸術祭賞(10月公演 通し狂言『義経千本桜』)の大賞受賞という評価につながったことが報告されました。
一方で、「少しでも多くの方々に歌舞伎をご覧いただく」ため、建物のバリアフリー化、東銀座駅との直結、木挽町広場や歌舞伎座ギャラリーの開場、字幕ガイドの運用などの取り組みが着実に実績を残したこと、結果として日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経MJ賞の受賞につながったことなどを挙げました。「"歌舞伎的"なものに触れていただくことが、将来の歌舞伎ファンにつながっていくのでは」と、将来を見据えての開発を目指した旨を強調しました。
日本俳優協会を代表して会見に出席した中村梅玉は、父、六世歌右衛門の「歌舞伎座は世界に誇る劇場だから、将来にわたり大切に残してほしい」という生前の言葉を紹介、「こんな素敵な劇場にでき上がりましたと、自信をもって父に報告いたしました」と、新しい歌舞伎座に俳優一同が大変満足し、感謝していることを述べました。
「歌舞伎座は国劇の殿堂といわれていましたが、我々の舞台が充実してこそ、将来にわたって国劇の殿堂になると思うので、先人たちから受継いだ芸を充実させ、歌舞伎と歌舞伎座をますます発展させていくように日々、努力精進いたしたいと思います」と歌舞伎俳優としての決意を語りました。
上演された歌舞伎については、松竹株式会社専務取締役安孫子正より「歌舞伎座における歌舞伎は一つの規範となるので、第一にきちんと古典を継承すること、第二に平成の時代における新しい歌舞伎をつくっていくこと、そのうえで歌舞伎の芸の継承をどう図っていくかを考えて、この1年間の興行を行ってきました」との話があり、さらに今後は「今まで出ていない作品も、より積極的に上演していく」ことも明らかにされました。
歌舞伎は生きている演劇
芸の継承について梅玉は、新開場までに先輩や同輩が亡くなり、「残された我々が頑張らないといけない自覚が生まれた」と言い、「先輩から教わった芸を、先輩の舞台を知らない若い人たちに伝えていくことこそが我々の使命」と言葉に力を込めました。
「後輩に指導するとは、芸の根本、"性根"をお教えすること。性根を踏まえ、その時代のお客様に合わせ、納得していただける舞台を勤めなくてはいけない。私は一挙手一投足このようにやりなさいとは教えません。性根で勤めることが大事で、あとは自分の工夫によって役を自分のものにすることが大事とかねがね言っております。歌舞伎はそうして"生き続けていく演劇"だと思います」。梅玉はその自負のもと、歌舞伎に携わる充実感を感じていると話しました。
さらに、松竹がGINZA KABUKIZAの開場にあたって創設した「こども歌舞伎スクール寺子屋」や、伝統歌舞伎保存会が約10年行ってきた「小学生のための子供歌舞伎教室」など、子どもが歌舞伎に親しむ機会の大切さにふれた梅玉。「ともかく歌舞伎に親しんでいただく。古典文化、伝統芸術に、もっと小さいときから接触してほしい」と願い、400名を超える応募者があった「寺子屋」での統括講師も「気を引き締めて指導に当たる」と約束しました。