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竹三郎が自主公演「坂東竹三郎の会」を語る
8月10日(土)・11日(日)、大阪文楽劇場で行われる 「坂東竹三郎の会」を主宰する竹三郎が、この自主公演への思いと意気込みを語りました。
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自主公演の集大成として
今回の「坂東竹三郎の会」は、自らの傘寿記念と同時に、師であり養父の四世尾上菊次郎の三十三回忌を追善して、2日間全4公演を行うものです。これまで20回以上の自主公演を行ってきた竹三郎ですが、前回の喜寿記念公演(平成21年6月大阪松竹座)にメッセージをくれた猿之助(当時亀治郎)が、「傘寿記念もやりなさいよ」と言ったことと、養父の法要を自分が手掛けるのは最後かもしれないとの思いから、「年齢のこともあり、今回を自主公演の集大成として考えています」と明かしました。
「若い頃は、関西は歌舞伎が不振で、舞台に上がるチャンスも少なかったため、自らつくるよりほかに手段はなかったことと、おこがましいけれど、何としてでも歌舞伎を盛上げたい、絶やしてはいけないという気持ちもありました」。自主公演を始めたときの熱い思いを持ち続けることが、回数を重ねることができた理由だそうです。
義平次婆おとらとお岩
『女團七』は、『夏祭浪花鑑』の書替狂言で、大阪では四世中村富十郎が昭和31(1956)年に自主公演「矢車会」で出して以来の上演です。「このとき、"わっしょい"(だんじり祭りの若い衆)で出ていておぼろげながら覚えています。当時の写真が見つかり、それを参考にしながらも、まったく新しくつくるつもりで上演したい」。猿之助が『夏祭』の團七に当たる團七縞のお梶、竹三郎は義平次の婆さん版である義平次婆おとらに回ります。「強欲な婆さんとはいえ、やはり女ですから諸肌脱いだりはいたしません」と、役づくりの構想を固めつつあるようでした。
『四谷怪談』のお岩は、名古屋大須の宝生座、御堂会館で演じたことがありますが、「まったくの初役のつもりで挑みたい」と意欲的です。「お岩様は、凄惨な容貌になるところから、ご見物には恐怖を感じさせるかもしれませんが、役者、特に女方にとっては、女性の情がすべて表れている役で、やっていて実はとても気持ちのよい役。先代の七世市川門之助さんや亡くなった勘三郎さんも、同じことをおっしゃっていて驚いた記憶があります」。
仁左衛門が友情出演
多彩な出演者も話題となっている今回の公演ですが、竹三郎は「ありがたいこと」と感謝の念を隠し切れません。「伊右衛門には昭和58(1983)年以来となる仁左衛門さんが友情出演してくれ、台本も相談しながら、芝居をつくって行きたいと思っております。仁左衛門さんとは関西の歌舞伎が苦しい頃からの深いおつきあい。御尊父の十三代目仁左衛門さんには多くの役柄を教わり勉強しました。孝太郎さんは私を"お母ちゃん"と呼んでくれます。猿之助さんには"竹婆あ"と呼ばれております」。
そして、「自主公演は今回で最後ですが、本興行には命のあらん限り出演し、ご恩返しをしたく思っております」と、これからの舞台出演に向けての熱意も忘れずに語りました。