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橋之助、孝太郎、児太郎 秋季巡業「松竹大歌舞伎」への意気込み

松竹大歌舞伎

 11月1日(木)~25日(日)、秋季公演「松竹大歌舞伎」が、被災地を含む全国18都道府県、20都市で上演されます。出演は、中村橋之助、片岡孝太郎、片岡亀蔵、中村児太郎ほかです。今回の演目は、弁慶の生涯でただ一度きりの恋を題材とした義太夫狂言の名作『弁慶上使(べんけいじょうし)』と、いろは歌にあわせて踊る娘の初々しさや華やかさが人気の長唄舞踊『手習子(てならいこ)』。さらに2演目の上演前に「歌舞伎のみかた」で歌舞伎をわかりやすく解説します。公演に先立ち、橋之助、孝太郎、児太郎が意気込みを語りました。
 

 『弁慶上使』は「(二世尾上)松緑のおじさまや(十七世市村)羽左衛門のおじさま方がなさるのを見て、子どもの頃から大好きな演目のひとつ」という橋之助は、「弁慶は、"弁慶の立ち往生"といわれるように最後まで義経に大変よく仕えた、強い男の象徴ですが、 不思議なもので歌舞伎に出てくる弁慶は舞台上で必ず泣くんです。『弁慶上使』でも、弁慶のおおらかさ、大きさが見え隠れするようにしたい」と話し、初役の際(平成17年12月歌舞伎座)には、父である七世芝翫に"物語"のくだりを教わったこと、またその公演中に工夫したように、引込みは時代らしさを出すために、通常の黒御簾の合方ではなく、義太夫でと考えていることなどを明かしました。


 孝太郎は、「僕は女方のほとんどを芝翫のおじさまに教わっているのですが、それを支えてくださったのが橋之助のおにいさんです。父(仁左衛門)も、江戸狂言で自分の知らない作品は『幸ちゃん(橋之助)に聞いておいで』というのが口癖で、とても頼りになる兄貴です。そんなおにいさんとお芝居ができることがとても幸せですし、女方の後輩(児太郎)が出るので、責任を持って一緒に頑張りたい」と巡業参加を喜び、初役のおわさについては「自分の子どもが切られて死んでいくときに、昔の恋人に念願かなって会えるという複雑なところがあります。つらい、悲しい、うれしいと、いろんな心情を不自然にならないよう、うまく伝えられれば」と語りました。


 「緊張していますが、一所懸命勤めたい」と言う児太郎は、巡業初参加。『弁慶上使』でしのぶと卿の君を演じ、『手習子』では、「(筆が筏になって描かれている)"筆筏"がいい」と、芝翫が最後に勤めたとき(平成21年5月歌舞伎座)に作った衣裳で踊ります。「祖父(芝翫)が非常に大事にしていたお役です。自分の中でこのお役を祖父への追善の気持ちだと思って、毎日頑張っていきたい」と話し、特別な思いを感じさせました。


 また、巡業先に被災地が含まれていることについて3人は、3都市ではあるが訪問できることを喜んでおり、橋之助が「少しでも温かな気持ちになっていただけるように、精魂込めた芝居をすることが僕たちにできる一番のことだと思っています。復興していくなかで、どんどん歌舞伎を興行として被災地でも上演していきたい」と、今回の巡業に留まらない意気込みを語りました。


 なお、秋季巡業公演のチケットの発売日程は、劇場ごとに異なります。すでに発売開始となっている劇場もありますので、ご確認ください。

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秋季巡業「松竹大歌舞伎」

2012/08/02