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火の元の安全 歌舞伎座の汽缶祭
“奈落”と言われる歌舞伎座の地下では、大勢の裏方さんが働いています。その中心の施設といえるのがボイラー。歌舞伎座では11月15日、このボイラーの前に祭壇を設け、火の元の安全を祈願する“汽缶祭”が行われました。
汽缶という言葉、耳慣れない言葉かもしれませんが、実は“ボイラー”の事。歌舞伎座では本格的な暖房が入るこの時期に、毎年“汽缶祭”が催されています。今年も大勢の劇場関係者が参列する中、鐵砲洲稲荷の神主さんによっておごそかに御祓いが行われました。
この行事、もとは鞴(ふいご)を使う鍛冶屋や鋳物師などのあいだで、火の恵みに感謝し旧暦の11月8日に行っていた「鞴祭り」に由来すると言います。火への感謝は、ボイラーをいたわる気持ちへとつながり、かつてはボイラーのある事業所やビルでは必ずこの行事が行われていたそうです。
近年、このように祭壇を設け“汽缶祭”を行う建物も少ないようです。舞台の上ばかりではなく縁の下にもこだわりを見せるのも、歌舞伎座ならではの光景といえます。
2007/11/21