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巳之助登場「歌舞伎夜話」、話題はやっぱりあのおはなし

「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話」第8回

 

 

 2月5日(金)、歌舞伎座ギャラリーで「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話」第8回が開催され、坂東巳之助が登場しました。

 温かい拍手に迎えられて登場した巳之助。話題はまず、昨年10月・11月に出演したスーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』からです。今年の『かぶき手帖 2016年版』の巳之助紹介ページには『ワンピース』のあのキャラクターの写真が…。「キャラクターの濃い『ONE PIECE』ですから、(どの役が来ても)驚かないだろうと思っていました。けれど、スクアードにはびっくりしました」。

 

 頭の禿げあがったスクアードのため、さっそく鬘(かつら)も原作に忠実したとのこと。原作を熟知していたからこそ、自分なりの思いをもってキャラクターを表現しようとしていたようです。

 

「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話」第8回

 ボン・クレーは台本に沿って、せりふの言い回しも原作どおりに。大滝での立廻りは「水が動いていると温度が上がるんです。だから、休演日の翌日は水が冷たい。3月の大阪もきっと…」と言いながらも、やはり再演はうれしそうです。

 

 今年の「新春浅草歌舞伎」では、一番に感じたのが、「衣裳が(『ワンピース』と比べると格段に)重い」ことだったそう。でも面白かったと、実感のこもった言葉が続きます。現在は立役が多いですが、シネマ歌舞伎で公開される『喜撰』など「踊りでは立役、女方、両方手に入っています」。こう聞いては、これから挑戦する役にいやがおうにも期待が高まります。

  

 巳之助の初舞台は平成7年11月歌舞伎座。『蘭平物狂』の繁蔵、子役のなかでは大役です。「抜群に格好いい繁蔵、本当にいいお役です。今やりたいくらいの役です。当時6歳、繁蔵にしたら小さすぎたのではないでしょうか。縄を扱うところは、衣裳ががっちりしていて腕を上げるのも精いっぱい、衣裳の帷子に縄が引っ掛かるので難しかった」。

 

 3月には大阪松竹座、4月には博多座で早くも『ワンピース』が再演されます。「博多座は初お目見え。実は地方公演に縁が薄くて、大阪松竹座に出たのも21、22歳と遅かったし、京都は2年前の3月が初めてで顔見世にはまだ出ていません。名古屋は昨年の『雪之丞変化』『新・八犬伝』が初めてでした」と、ここで名古屋初お目見え公演の思い出話に花が咲きました。今後は役の幅とともに活躍の場所も広がっていくことでしょう。早く次の舞台が見たい、と思ったところで今宵の「歌舞伎夜話」も幕となりました。

 

「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話」第8回

2016/02/06