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時蔵、松緑が語る「松竹大歌舞伎 中央コース」

時蔵、松緑が語る「松竹大歌舞伎 中央コース」

 

 

 6月30日(木)から、全国16都市で行われる(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」中央コースに出演の中村時蔵、尾上松緑が、公演に向けての意気込みを語りました。

 昭和43(1968)年に始まった(公社)公文協主催の公演。「中央コース」では今年、31公演が予定されています。

 

時蔵、松緑が語る「松竹大歌舞伎 中央コース」

大切な家の芸につながる舞踊『文売り』 

 時蔵は、祖父(四世時蔵)の襲名以来、家の芸となっている『嫗山姥(こもちやまんば)』に題材をとった風俗舞踊、『文売り』に出演します。「『嫗山姥』は私もたびたびしておりますが、その『嫗山姥』の眼目になっているしゃべりの部分、つまり、一人の男をめぐっての傾城どうしの痴話喧嘩を舞踊にしています。2回ほど踊っていますが、興行ではまだやっていません」。珍しい上演ですが、大事にしている演目につながる舞踊とあって、気持ちも入ります。

 

 衣裳などはほとんど『嫗山姥』と変わらないと言い、「紙衣の衣裳は風情があり、演じるたびに大事にしています。風俗舞踊は時間も短くて、軽い感じで楽しんでいただけるものですが、その役に見えないといけない難しさがあります。今回も、恋をかなえる代書屋に見えるように勤めたいと思います」と、意欲的なところを見せました。

 

時蔵、松緑が語る「松竹大歌舞伎 中央コース」

襲名披露披露以来の『鳴神』 

 松緑は、歌舞伎十八番の内『鳴神』で、平成14(2002)年南座顔見世の松緑襲名披露以来となる鳴神上人を勤めます。「祖父(二世松緑)、父(初世辰之助、三世松緑)が得意にしていた役。二人に近づけるように勤めたいです」と、会見の前日が父の命日だったこともあり、言葉にも思いが込められました。「祖父はすっきりした感じでしていました。最初は上品な上人が、酒と女で堕落していくさまを面白く見ていただけるようにしたい。後半の荒事の部分は自分に合っていると思うので、ダイナミックに派手に」と意気込みました。

 

 祖父や父の舞台を知る人には、「そういう匂いを感じ取ってもらえるように」と言う松緑ですが、「初めてご覧になるお客様には、序破急がはっきりしてわかりやすく、笑えるところもあり、スペクタクルなところもある演目ですので、古典にこんな面白いものがあるんだと、わかっていただけるように勤めたい」と語りました。

 

「歌舞伎の見方」でいっそうわかりやすく 

 今回は、初めに「歌舞伎の見方」の時間が設けられました。「初めて歌舞伎をご覧になる方に、後見や附け打ちなど何だろうと思う事柄、ある程度知っていたらもっと楽しめるという歌舞伎のルールを解説します。演目の解説もします」と時蔵が紹介。松緑も、「今回の狂言立ては、これから歌舞伎を見ようとする方にとって、意義のあるものになっています。次に見るときも約束事がわかるものを選んでいますので、気後れせずに観に来ていただければ」とアピールしました。

 

 『鳴神』の雲の絶間姫は梅枝、そして、『三社祭』には亀寿と萬太郎が挑みます。時蔵は、「公文協の公演は、若いときにいい役をさせてもらえるのも魅力。今回も、三人が大きな役を勉強してくれることが第一」と期待を寄せ、「五人で一所懸命、暑さに負けず、体調に気を付けて頑張ります」と気合を入れました。 

 「松竹大歌舞伎」中央コースは6月30日(木)から7月24日(日)まで、16会場で開催。チケットお問い合わせは公演情報にてご確認ください。会場によってはチケットWeb松竹でも販売があります。

 

時蔵、松緑が語る「松竹大歌舞伎 中央コース」

2016/03/30