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歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」初日開幕
10月1日(日)、歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。
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10月の歌舞伎座は、平成29年度(第72回)文化庁芸術祭参加公演『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』から始まります。菊之助が企画から構想3年、脚本制作、振付にも携わり、舞台に結実させた新作歌舞伎です。
歌舞伎の定式幕がゆっくりと開かれると、そこには神々しく輝く世界が広がっていました。きらびやかな幕開きに驚きの声も上がり、『忠臣蔵』の大序のように、竹本の語りによって居並んだ神々に魂が吹き込まれて物語が始まります。「終わりの始まり」に突入した人間世界に、神々は慈愛で世界を救う子を生み出すことにしました。それが迦楼奈(かるな、菊之助)です。
迦楼奈と対峙することになる五王子の三男、阿龍樹雷(あるじゅら、松也)、五王子と敵対する鶴妖朶(づるようだ、七之助)。しかし、登場人物たちはどちらが正義で誰が悪いと単純には言い切れません。思い悩む人間たちに、仙人久理修那(くりしゅな、菊五郎)が静かに語りかけます。せりふはわかりやすく、哲学的な内容を含んだ言葉が心に響き、登場人物の心情に合わせてじわじわと感情を揺さぶります。
舞台は屏風に描かれた絵が作品の世界観をつくり出し、廻り舞台によって空間と時間がスムーズに移り変わっていきます。転換していく物語世界をつないでいるのは音楽。心情や状況を語る竹本や黒御簾音楽とパーカッションが、一つの音楽となって耳に心地よく届きます。大詰では、舞台を広く大胆に使った戦いに、客席から何度も拍手が上がりました。幕が降りても拍手は鳴り止まず、初演の舞台は喝采の内に初日を終えました。
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夜の部の『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)』、兵たちの混乱した様子が描かれる「二の丸」からの上演が多い演目ですが、今回は「奥殿」から始まり、淀の方が徐々に追い詰められていくさまがはっきりと伝わってきます。その結果、糒庫(ほしいぐら)での錯乱と、その母を思い、いかなる恥辱も母上様には代えられぬと苦渋の決断を下す秀頼の気持ちに、いっそうの切なさがつのりました。玉三郎が初役で淀の方を勤めます。
続いては『漢人韓文手管始(かんじんかんもんてくだのはじまり)』、長崎を舞台にした異国情緒あふれる芝居で、23年ぶりの上演です。鴈治郎の演じる家老の伝七は、八方ふさがりの窮地に追い込まれ、大通辞の典蔵の厚情を頼りに切り抜けようと画策しますが…。典蔵は芝翫。上方歌舞伎ならではの二枚目のような伝七は、最後の花道の引込みにもその風情をたたえながら幕を締めます。
最後は『秋の色種(あきのいろくさ)』。玉三郎が昨年、八千代座で初めて披露した舞踊ですが、今回は、途中から梅枝と児太郎が入って三人の連れ舞を見せ、二人は琴の音色も聴かせました。松虫の音、秋の草花など、秋の風情を詠み込んだ詞章に合わせ、情緒たっぷりに踊ります。軽やかな扇の動き、手踊りの面白さを堪能して劇場を出ると、外はすっかり秋の夜。今の季節でしか味わえない観劇体験をお楽しみください。
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歌舞伎座地下2階「木挽町広場」には、「マハーバーラタ戦記 観劇記念弁当」が登場。菊之助と神田明神下みやびのコラボレーションで公演期間中の限定販売、菊之助の挨拶状付きです。東銀座駅入り口に近い「お弁当処やぐら」にて、1,800円(税込)で販売していますので、どなたでもお求めになれます。ぜひ味わってみてください。
歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」は、10月25日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹にて販売中です。