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児太郎が「子供歌舞伎教室」『櫓のお七』出演
11月23日(火・祝)、歌舞伎座で「第247回 子供歌舞伎教室」が開催され、中村児太郎、中村芝のぶが出演しました。
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歌舞伎を身近に感じていただくための解説
昭和27(1952)年に始まった「子供歌舞伎教室(公益財団法人都民劇場主催、東京都共催)」、今回は『伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ) 櫓のお七』が上演され、招待された小学生から高校生までの児童、生徒の皆さんが朝早くから歌舞伎座に集まりました。
今年は、初めて歌舞伎をご覧になる方にもよりいっそう楽しんでいただこうと、歌舞伎座舞台株式会社の足立安男さんによる、舞台や大道具の解説が行われました。「歌舞伎座の舞台の間口はおよそ27メートル、学校のプールがそのまま入る大きさがあります」など、わかりやすいたとえを交えての話に、客席もしっかり耳を傾けている様子です。
『櫓のお七』の大道具についても、「舞台一面に敷いている白い布は雪布、雪が積もっていることを表し、舞台の背景画が黒色なのは、場面が夜という設定だからです」と、説明が続きました。そして、最後に足立さんが、「心を空っぽにして耳や目、五感すべてを舞台に集中させてください。何か一つでもよかったねと感じとっていただいて、次にご覧になるきっかけになればと思います」と、特にまだ歌舞伎をご覧になったことのないお子さんたちに向けて優しく語りかけました。
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お七が人形振りを見せる
解説が終わると、いよいよ『櫓のお七』が始まりました。山台には竹本が並び、しんしんと雪が降る中、八百屋と書かれた戸を開けて黄八丈を着た町娘、お七(児太郎)が顔をのぞかせると、その可愛らしさに拍手が起こりました。また、てきぱきとお七の世話を焼く下女のお杉(芝のぶ)が、舞台を引き立てます。
口上触れがあって『櫓のお七』のみどころ、人形振りになると、後見と息を合わせ、人形浄瑠璃の人形の動きを借りてお七の激しい感情を表現していきます。人形らしい手の動きを見せたり、後見に操られているかのように体重を預けたりと、さまざまな技巧が詰め込まれた人形振りの演技に、何度も拍手が起こりました。引抜きで段鹿子の衣裳になり、肌脱ぎで緋縮緬を見せると、物語はクライマックスへ。
雪がいっそう強く降り出す中、恋しい吉三郎のために死罪を覚悟で火の見櫓に登り、木戸を開けさせるための太鼓をたたくお七。吉三郎に届ける名刀天国を抱いて花道を駆けていくお七に、場内から惜しみない拍手が贈られていました。