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歌舞伎座「三月大歌舞伎」初日開幕
3月3日(日)、歌舞伎座「三月大歌舞伎」初日の幕が上がりました。
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昼の部は、『女鳴神』で幕を開けます。荒事の名作、歌舞伎十八番『鳴神』を女方が演じる作品で、歌舞伎座では、平成3(1991)年以来の上演となります。雨を降らさぬ行法を行う、孝太郎演じる鳴神尼のもとへ、鴈治郎演じる色男の雲野絶間之助が現れます。色仕掛けにすっかり惑わされた鳴神尼ですが、騙されていると気が付くと豹変。派手な立廻りののち、幕切れに佐久間玄蕃盛政に扮した鴈治郎(二役)が登場し、豪快な押戻しを見せ、客席は大きな拍手に包まれました。
続いては、風俗舞踊の『傀儡師』です。浅葱幕が振り落とされ、姿を見せたのは幸四郎の傀儡師。傀儡師とは、大道芸の人形遣いのこと。自分を人形に見立てて、次から次へと、さまざまな人物の様子を軽快に踊り分けていきます。しゃれた味わいのひと幕となりました。
昼の部の最後の幕は、『傾城反魂香』。今月はお馴染みの「土佐将監閑居の場」に加え、前段となる二場も上演されます。「近江国高嶋館の場」では、幸四郎の狩野四郎二郎元信が描いた虎が襖から抜け出します。「土佐将監閑居の場」では、白鸚の又平と猿之助のおとくが夫婦の情愛をみせ、絵筆で奇跡を起こします。30年ぶりに又平を勤める白鸚に、客席からは「高麗屋!」と声がかかりました。
夜の部は、『盛綱陣屋』で幕を開けます。源氏一族の争いに巻き込まれ、兄弟で敵味方に分かれることになった佐々木家の盛綱と高綱。複雑に絡みあう人間関係のなか、親子の思い、兄弟の思いに引き裂かれる盛綱を仁左衛門が演じ、観客を引き込みます。高綱の子の小四郎を勘太郎、盛綱の子の小三郎を寺嶋眞秀が勤め、客席からは惜しみない拍手が送られました。
続くひと幕は、滑稽味あふれる舞踊『雷船頭』。奇数日には猿之助が女船頭を、偶数日には幸四郎が船頭を演じます。粋でいなせな船頭が、客の忘れ物に気付いた途端、天気が急変し、気弱な雷が天から落ちてきます。ここまでは女方も立役も同じ筋をたどりますが、その後は、それぞれの趣向の展開をみせます。
夜の部の最後の演目は、『弁天娘女男白浪』。弁天小僧菊之助を、奇数日は幸四郎、偶数日は猿之助が勤め、今月はこちらの演目も奇数日と偶数日で、一部異なる配役による上演です。それぞれ、歌舞伎座では初めて演じる弁天小僧菊之助。額の傷、刺青の模様、長襦袢の柄にも、工夫が凝らされています。「稲瀬川勢揃いの場」では、白鸚の日本駄右衛門を筆頭に白浪五人男がそろい、絵面で美しくきまり、幕となりました。
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歌舞伎座の木挽町広場には、桜の枝が飾られ、桃の節句に初日を迎える公演にふさわしいしつらえです。ご観劇の折にはぜひ、木挽町広場にも立ち寄り、ひと足早い春をお楽しみください。
歌舞伎座「三月大歌舞伎」は3月27日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。舞台写真は、舞台写真館(スマートフォンはこちら)でお楽しみください。