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児太郎、九團次、廣松、市川海老蔵企画公演「いぶき、」に向けて
6月17日(木)~20日(日)に南座で開催される、市川海老蔵企画公演「いぶき、」に向け、中村児太郎、市川九團次、大谷廣松が語りました。
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このたび初めて開催される市川海老蔵企画公演「いぶき、」。タイトルには、この公演が未来の歌舞伎界に続く公演になるように、という思いが込められています。この公演では『妹背山婦女庭訓』より道行「願絲縁苧環」と「三笠山御殿」、そして『乗合船恵方万歳』が上演され、若手俳優がエネルギッシュに取り組みます。
未来へ続くチャレンジの場
若い芽、つまり若手俳優の成長の場を設けるべく企画されたこの「いぶき、」。市川海老蔵の巡業に出演していた際に、「チャレンジできる勉強の場」が欲しい、という思いを海老蔵に伝えたことからこの企画の実現につながったと、児太郎の説明に熱がこもります。最後に付く読点は、さらに次へ続いていく、という意味が含まれているといいます。「今後へ続くための第一歩。しっかり踏み出せるよう精魂込めて勤めたいと思います」。
「全力で“いぶき”たい」と、熱く語り出した九團次は、「勉強会は大変ですが、喜びや得るもの、学ぶこともたくさんあります。来てくださるお客様への感謝も忘れずに、頑張りたいです」と、気を引き締めます。廣松は、「こうした状況のなか、舞台を生でお客様に観ていただけるのはとてもありがたいこと。タイトルの“、”が示す通り、次へつながるようにしっかり勤めたいです」と、力強く語りました。
しっかり役を学ぶ機会を
『妹背山婦女庭訓』では、勉強会らしく、三人とも初役を勤めます。児太郎にとってお三輪は、「女方を目指すうえで、どうしてもやりたいと思っていたお役」。父(中村福助)の舞台や、自分が橘姫を勤めたときの舞台を通して、「なんて素敵な役なんだろう」と、憧れていたと明かし、「一人の男性を一途に愛し死んでいく、その強さ、優しさ、娘としての風情、そういうものを、父や玉三郎のおじ様(坂東玉三郎)にしっかり習って」表現したいと、抱負を語ります。
九團次は「三笠山御殿」の漁師鱶七について「豪放磊落、かつ実直な武士で、最後の切り札を握る憧れの大役。市川左團次さんにきっちり習いたい」と、気合を込めます。先輩に役を教わる機会を得て舞台に立てることが幸せと言う廣松は、求女のイメージを「柔らかいようで、強く内に秘めているものがある」とし、中村梅玉に教わると明かしました。また、『乗合船恵方万歳』の萬歳と才造をそれぞれ演じる二人は、「お客様に楽しんでいただきたい」と、口々に語りました。
舞台に立てることの幸せ
コロナ禍で、これまでのような公演形式がとれなくなってから1年以上。「毎月大変だなと思いながらやっていた日常が、ありがたく幸せだったということをつくづく感じた」と言う児太郎。この公演に向けて、「自分の体にむち打ちまして一所懸命舞台に臨みたい。お客様と距離が近く熱量が高い南座で、やりたかったお三輪をさせていただく。お客様がどのように見てくださるのか、とても楽しみです」と、熱い思いをにじませます。
長い間舞台に立たないことで、「舞台が自分を支えていた」ことに気づいたという九團次は、「貴重な経験、一日一日しっかり勉強して舞台に向かっていきたい」と決意を表します。廣松は、「舞台に立たない期間、自分を見つめなおし、歌舞伎に対しての思いを冷静に考えられた」と話し、応援してくださっているお客様への感謝を込めて頑張りたい、と襟を正しました。
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海老蔵の巡業公演などを通して、長い時間をともに過ごしてきたという三人。ときに丁々発止のやりとりも見せ、チームワークのよさが伝わります。若手俳優の新たな挑戦の一歩となる「いぶき、」のチケットの詳細についてはこちらをご覧ください。