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歌舞伎座「六月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「六月大歌舞伎」初日開幕

 

 6月3日(木)、歌舞伎座「六月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 歌舞伎座では今月も、幕間ありの三部制、客席数50%を維持し、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底してお客様をお迎えしています。

 

 第一部は『御摂勧進帳』から始まります。芝翫演じる武蔵坊弁慶が、雀右衛門演じる主君の源義経を守るべく、鴈治郎演じる富樫左衛門らが守る関所を通過しようと一計を案じます。人質となった後の泣き姿から一転、勇猛な素顔を見せて戦う弁慶が、番卒たちの首を大きな桶に入れて大胆にかき回す“芋洗い”の場面はみどころです。大らかで豪快な江戸荒事らしさあふれる舞台に、客席も大いに盛り上がりました。

 

 続いては、清元の舞踊『夕顔棚』です。 夕涼みを楽しんでいたところ、聞こえてきた盆踊りの唄に昔を懐かしんで踊り出すのは、菊五郎勤める婆と、左團次勤める爺の老夫婦。そこへ現れた巳之助と米吉が勤める里の男と女が、久々の盆踊りに浮き立つ気持ちを若者らしく踊って見せます。婆の飛ばした入れ歯を爺が拾う場面など、微笑ましく仲睦まじい老夫婦の姿に安らぎを感じられる、のどかな田舎の風情が味わい深い作品です。

 第二部の『桜姫東文章』では、4月公演の「上の巻」に続く「下の巻」を上演。当月も仁左衛門が清玄と釣鐘権助を、玉三郎が桜姫を勤めます。序幕は、歌六が勤める残月と吉弥が勤める長浦による清玄殺し、桜姫と権助の再会、そして蘇生した清玄と桜姫の対峙と、息もつかせぬ展開を見せ、どこか滑稽味も感じさせながら描かれる凄惨な物語に、観客はすっかり引き込まれます。

 

 続く二幕目では、権助の悪役ぶりや、女郎に身を落とした桜姫が見せる、清玄の幽霊に悪態をつくほどの気丈な振る舞い、そしてお姫様言葉と女郎言葉が入り混じったせりふが眼目の一つ。大詰では、因果な運命に翻弄される桜姫、権助、清玄の物語が大団円を迎えます。退廃的な美しさや残酷さを散りばめた見応えある芝居に、劇場はすっかり南北の世界に染まり、極上のひとときとなりました。

 第三部の幕開けは『京人形』です。白鸚演じる彫物師の左甚五郎が彫り上げたのは、見染めた花魁に生き写しの京人形。高麗蔵演じる女房のおとくを仲居役に酒を飲んでいると、不思議なことに京人形に魂が宿って動き始めます。男らしい動きと女らしい仕草の切り替わりがみどころの京人形を演じるのは、このたび初めて本格的な女方を勤める染五郎です。後半に甚五郎が左腕一本で挑む粋な立廻りまで、華やかな見せ場に富んだ、高麗屋の魅力あふれるひと幕です。

 

 締めくくりは、横内謙介の構成・脚本・演出、猿之助の演出・主演により、「日蓮聖人降誕八百年」を記念して上演される『日蓮』。鎌倉時代、人々が救われぬ世に疑問を抱いた蓮長が、強い信念を胸に「日蓮」へ名を改めるまでがドラマティックに描かれます。今を懸命に生きる誰もが幸せになれる世を、と優しく説く日蓮の言葉は、現代の人々へのエールのようです。観る者の胸にあたたかな希望が宿るような幕切れに、歌舞伎座が大きな拍手に包まれました。

歌舞伎座「六月大歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、6月8日(火)から7月7日(水)まで、「中国・四国地方物産展」を開催し、ご当地の人気商品を取りそろえてお待ちしています。ご観劇の際にはぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「六月大歌舞伎」は、28日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/06/08