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巳之助が語る、歌舞伎座『寿曽我対面』
11月1日(月)から始まる、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」第二部『寿曽我対面』に出演の坂東巳之助が、公演に向けての思いを語りました。
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父、十世坂東三津五郎七回忌追善狂言として
今回の「吉例顔見世大歌舞伎」では、十世坂東三津五郎七回忌追善狂言として、『寿曽我対面』が上演されます。「三回忌の『どんつく』のときもそうでしたけれども、菊五郎のおじ様をはじめとする先輩方が、お顔をそろえて今回の『寿曽我対面』でも並んでくださる。これはもう本当にただただ、ありがたいのひと言に尽きます」と、神妙に語ります。
平成13(2001)年1月に、三津五郎が襲名狂言として初役で挑んだ『寿曽我対面』曽我五郎時致を、自身も初役で演じる巳之助。「基本を大事にすることが父の芸風だったと思うので、特別になにかをということではなく、歌舞伎俳優として当たり前に大事にしないといけないことを、大切にしていきたいです。そうすることが、父の追善にもなるのではないかと思います」と、落ち着いた様子で話しました。
父や先輩から教わったこと
曽我五郎を勤める三津五郎とは、平成23(2011)年1月の新橋演舞場で共演しています。「一緒に出たと言っても、自分は化粧坂少将で出させていただいていたので、父の後ろ姿を見るばかりでした」と、当時を振り返りながらも、「踊りの会では(『寿曽我対面』以外の)五郎の役を勤める機会がありましたので、荒事の代表的な役柄として、体の使い方であったり、基本的なことなど、父から教えてもらったことはたくさんあります」と、気持ちが入ります。
また、初役ということで臨んだ撮影の際には、今回の指導を依頼している松緑も立ち合い、撮影の合間に、舞台上での衣裳の扱い方などもアドバイスをもらったと明かしました。「こうして事前に拵えをさせていただいたことで、五郎のかたちが少し見えてきた」と語り、「父を討たれたその怒りが、常に工藤へ向いている」五郎という役に取り組む意気込みを感じさせました。
長く受け継がれてきた作品の面白さ
『寿曽我対面』は、「儀式的な部分が強い作品」と述べ、「約束事、決まり事がこんなに散りばめられているんだなと、改めて感じました」と話します。歌舞伎代表的な役柄がそろうため、「“新春浅草歌舞伎”で勤めさせていただいた小林朝比奈では、若いお客様が多いなかでも、見た目が楽しいと、それだけでも受け入れてくださいました。いろいろな楽しみ方があるというのが、こういった作品が残っている所以だと思います」と、深く感じ入りました。
荒事については、「父から、小難しいことを考えないように、と教わりました。気を付けること、工夫することはあるとは思うのですが、そういったことを気にせずできるようになるまで、稽古しないといけない、という意味でもあると思うので、そこを一番大事にしていきたいと思います」と、決意を新たにしました。
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歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は11月1日(月)から26日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で発売中です。