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博多座「九月博多座大歌舞伎」初日開幕
2023年9日1日(金)、博多座で「九月博多座大歌舞伎」の初日が開幕しました。
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劇場正面では、色とりどりの幟と大型ビジョンに映し出された十三代目市川團十郎白猿襲名披露、八代目市川新之助初舞台のポスタービジュアルがお客様をお迎えします。そして劇場に入ると、ロビーには、博多座開場時から飾られている『暫』の博多人形に加え、襲名公演に合わせて特別に展示されている歌舞伎十八番を紹介するパネルや襲名の記念品が並び、また場内では華やかな祝幕も披露され、劇場全体で襲名興行を盛り上げます。
昼の部は、歌舞伎十八番の一つで荒事の魅力にあふれる『矢の根』で幕を開けます。右團次が曽我五郎を勤め、客席は荒事の豪快さと明るさ、そして祝祭的雰囲気に包まれます。続いて、新之助の初舞台演目である歌舞伎十八番『外郎売』です。幕が開くと舞台は富士山を臨む大磯の廓。工藤祐経(梅玉)、大磯の虎(扇雀)、小林朝比奈(芝翫)らが酒宴を催しているところに、新之助勤める外郎売が花道から登場すると、その凛々しい様子に観客の視線は釘付けに。「劇中口上」では、梅玉の紹介に続き、新之助が挨拶を述べました。そして『外郎売』最大の見どころである早口の言い立てを堂々と披露する新之助の姿に、客席からは割れんばかりの拍手が送られました。続いて、團十郎の襲名披露狂言として、海老蔵時代に景清を主人公として再構成した『壽三升景清』より歌舞伎十八番『景清』を上演。悪七兵衛景清(團十郎)と秩父庄司重忠(愛之助)の問答や牢破りの荒事など、景清の凄みと團十郎の圧倒的な存在感が存分に発揮される本作に客席も思わず息をのみます。また、津軽三味線奏者・上妻宏光の生演奏が、舞台にさらなる迫力と勢いを生み、次々に披露される立廻りや、巨大な海老が登場する圧巻の舞台に、万雷の拍手が沸き起こりました。
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夜の部は、歌舞伎の色彩美と様式美に富んだ華やかな廓風情が漂う『鞘當』で華やかに開幕します。不破伴左衛門(芝翫)と名古屋山三(愛之助)の一触即発の様子に茶屋女房(孝太郎)が留めに入ります。荒事味ある伴左衛門と和事味漂う山三の渡りぜりふや、茶屋女房の啖呵が心地よく響きます。続く襲名披露『口上』では豪華出演者がそろって團十郎の襲名と新之助の初舞台を寿ぎ、挨拶を述べました。團十郎、新之助は、襲名、初舞台のご挨拶をし、團十郎は博多座への思いも語ります。そして團十郎が来場のお客様の無病息災を願って成田屋の家の芸である「にらみ」を力強く披露し、場内からは熱い拍手が送られました。夜の部の最後は、團十郎の襲名披露狂言であり、九州の歌舞伎ファン待望の歌舞伎十八番『暫』です。「しばらく、しばらく」という大音声とともに博多座へ初登場した鎌倉権五郎(團十郎)の迫力ある姿に、客席が興奮に包まれます。『暫』の九州初上演の瞬間を食い入るように見つめるお客様と、その思いに応えるようにエネルギーに満ちた躍動を見せる團十郎。幕切れには「成田屋!」「十三代目!」と大向うがかかるなか、大太刀を肩に担ぎ六方を踏んで悠然と引っ込む姿に客席の盛り上がりは最高潮となりました。
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博多座「九月博多座大歌舞伎」は、17日(日)までの公演。チケットは博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売中です。