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大阪松竹座「七月大歌舞伎」初日開幕

大阪松竹座「七月大歌舞伎」初日開幕

 

 2024年7月3日(水)、大阪松竹座「関西・歌舞伎を愛する会 結成四十五周年記念 七月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 昼の部は、大坂を舞台に、登場人物たちの複雑な恋模様を描く『小さん金五郎』で開幕。上方の風情あふれる明るい世話狂言に、場内も華やいだ雰囲気になりました。次いで趣の異なる二つの舞踊、『藤娘』と『俄獅子』を続けて上演。『藤娘』では、藤の精が可憐に踊り、錦絵から抜け出したかのような美しさが観客を魅了します。また、『俄獅子』では、賑やかな空気のなか披露される立廻りや江戸の廓情緒たっぷりの踊りに、客席も盛り上がりを見せました。昼の部の切は初代中村萬壽襲名披露、五代目中村梅枝初舞台となる『恋女房染分手綱』「重の井」。乳人重の井を萬壽、自然薯の三吉を梅枝が勤め、離れ離れとなった親子の悲劇を描く重厚な義太夫狂言です。悲しい母子の別れの場面では、客席からもすすり泣きの声が聞こえ、盛大な拍手のなかで幕となりました。

 夜の部は歌舞伎の三大名作『義経千本桜』より「木の実・小金吾討死・すし屋」を上演。仁左衛門演じるいがみの権太の、悪党ながらもどこか憎めない姿が観客の心を引き付けます。手負いになりながら述懐する場面では、権太が父に抱く本心が涙を誘い、閉幕後も劇場中が鳴りやまぬ拍手に包まれました。続く、能を題材とした歌舞伎舞踊『汐汲』では、さまざまな技巧を用いた変化に富む踊りが披露され、磯の香りが場内に広がるかのような味わい深いひとときとなりました。そして、切狂言は、六代目中村時蔵襲名披露狂言の『八重桐廓噺』「嫗山姥」。代々の時蔵が当り役として演じてきた荻野屋八重桐を初役で勤める新・時蔵の登場を、客席が熱い拍手で迎えます。竹本に合わせた“しゃべり”ではしっとりとした色気もにじませる一方、山姥となってからは一転、すさまじい力で花四天たちを圧倒します。最後はぶっ返りで豪快に極まり、襲名を寿ぐ華やかな幕切れとなりました。

 大阪松竹座「関西・歌舞伎を愛する会 結成四十五周年記念 七月大歌舞伎」は、7月26日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2024/07/08